“開運のロズベルグ”が歴史を変える!? 今宮純のロシアGPインプレッション

F1速報

傑出していたレース運び

最大の敵であるチームメイトは不運が続く。ニコ・ロズベルグは無敵のレースを、完全試合で制覇した 【LAT】

“ビンゴ”を得たのは、そう、10番グリッドからパワーユニット交換作業の末にスタートしたルイス・ハミルトンだ。さらに14番グリッドからのフェルナンド・アロンソと17番手からのケビン・マグヌッセン。1周目に5位、7位、10位まで上がった3人の危機回避プレーは秀逸。国際共同映像では、はっきりとらえていないが、とっさに1コーナー入口でアウトサイドラインに進路を取って回避している。

 この瞬間状況判断力は正しい。とくにハミルトンとアロンソは減速することなく、広いエスケープを使い、加速している。通常であれば「コース外の走行プレー」は審議対象になっても、危機回避するためのアウトサイド走行は、なりにくい。さすがチャンピオンの技だ。これでハミルトンは5台を抜き、アロンソも一気に入賞圏内レースを可能にし、ルノーのマグヌッセンも千載一遇のポイントチャンスを得た。

 今年のロシアGPは1ストップが見え見えだっただけに“アンダーカット”や“オーバーカット”の戦略よりも1コーナーのポジション攻防で、ほとんどすべてが決した。その意味において鮮やかに先頭を奪い、F1完全試合(グランドスラム)を決めたロズベルグのレースは傑出していた。「また楽勝かよ」と言われるかもしれないが、そうではない、無敵状態のときに、無敵の勝ち方を彼はやりきったのだ。43点リードは巨大で、ハミルトンが自力優勝を重ねたとしても、逆転するには7月の第11戦ハンガリーGPまでかかる。頭脳派タイプのニコは計算できているはずだ。

 通算18勝のロズベルグは、キミ・ライコネンとミカ・ハッキネンの20勝に近づき、7連勝はミハエル・シューマッハーやアルベルト・アスカリに並ぶところまできた。メルセデス・チームは昨年から10連勝。1988年マクラーレン・ホンダ11連勝に、あとひとつ。孤高の1950年代フェラーリ14連勝も見えてきた。歴史を塗り変える『開運ロズベルグ』を、いま目撃しているのかもしれない。

(文=今宮純)

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