「日本ラグビーの底力」を示した韓国戦 ヤングジャパンが想定以上の大勝

斉藤健仁

サンウルブズ組も期待通りの活躍

サンウルブズで出場機会が少ないSO山中は、攻撃をうまくコントロールした 【斉藤健仁】

 森だけでなく、LO宇佐美和彦、FL安藤、SO山中亮平、WTB山下、FL村田毅、SH井上大介と、サンウルブズで出場機会が少なかった選手が7人選出。「うずうずしている気持ちをこちらで爆発させてくれればいい」という中竹HC代行が期待した通りの働きを見せた。もちろん、6月の日本代表戦を率いることが決まっているサンウルブズのマーク・ハメットHCも、この試合を観戦していた。

「ハマー(ハメットHC)も見に来ていたので、思いっきりプレーしようと思った。久しぶりの試合だったけど、みんなが積極的にプレーして、前半の入りが良かった。SOとしてやりやすかった。BKのラインコントロールもできていたと思う」(山中)

「フォロワーシップ」でコミュニケーションを深める

3トライを奪ったWTB山下。短い準備期間でも、コミュニケーションがとれていた 【斉藤健仁】

 なぜ、集合から短い時間の中で、チームとして力を発揮できたのか、何人かの選手に聞くと、「コミュニケーションです」という答えが返ってきた。中竹HC代行は、みんなで食事を取る時は携帯を禁止、ミーティング時は普段話していない選手の隣に座るなどの指示をして、積極的にコミュニケーションの時間を増やしたことが功を奏した。こうした環境を作ることができたのは、リーダーをなるべく決めない、「フォロワーシップ」を信条としている中竹HCの真骨頂である。

「年齢的に内田キャプテンが真ん中くらいで、その上の年代も年下の選手とコミュニケーションを取ろうとするし、下の選手もそう。チームディナーもあったし、『チームになろう』と中竹さんが言ってくれて、4日間の準備期間としてはいいコミュニケーションが取れました」(SH井上)

中竹HC代行「全員が本当のジャパンに」

代表デビュー戦で5トライを奪ったWTB児玉。6月以降のテストマッチでも代表入りを狙う 【斉藤健仁】

 それにしても爽快な勝利だった。ハンマー投げからの転向で注目されたPR知念雄は「チームを結成したときに『準備期間が短い』、『フル代表と認めていいのか』という声が外からあったのは事実です。そのプレッシャーの中、みんなトライに貪欲にプレーした。PRとしてはスクラム、モールで圧倒することができたと思う」と胸を張った。

 この1年、U20日本代表が「トップ12」に残留し、15人制日本代表がW杯で3勝を挙げ、男女のセブンズはリオデジャネイロ五輪出場を決め、高校日本代表はU19スコットランド代表に勝利した。今回、若手中心でも15人制ラグビーでは、アジアで十分に戦えることを証明した。やはり、W杯での勝利が、日本ラグビー界全体の力を底上げしていると言えよう。

 なお今日の試合では17人が新たに日本代表キャップを獲得した。スコッド発表会見で、中竹HC代行は「今回のメンバーは実質は『ジュニアジャパン』です。僕も選手も、アジアの大会を通じて、全員が本当のジャパンになる4試合にしたい」と言っていたが、まさしく、その一試合目としては及第点を与えることができよう。残り3試合。「まだ始まったばかりですが、この勝利をスタートに、さらにレベルアップしたい。どんな選手が出ても強くなれるようなチームにしたい」(中竹HC代行)

 この試合に出た選手の中から6月のカナダ代表戦とスコットランド代表戦に何人が入ることができるか。いよいよ、2019年、日本で開催されるW杯に向けてのサバイバルも始まった。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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