フォーミュラEパリ大会は成功だったのか? イベントとしては成功だったが…

motorsport.com Japan

より観客フレンドリーなイベントに

表彰式を埋め尽くした大観衆 【Formula E】

 パリのフォーミュラEレースはセーヌ左岸、アンヴァリッド宮殿を巡る1周1.8キロのコースで開催された。公道がコンクリートの壁と金網フェンスとに囲まれてレースコースに変身したのだ。仮設スタンドが設けられ、宮殿前の芝生の庭には『e.Village』と呼ばれる広場が出現した。大勢の市民や観光客が集まり、入場チケットは完売。コース周辺も含め、3万人の人々が集った。レース後の表彰式会場では、表彰台前の広場は観客で埋まった。

 振り返ると、イベントとしてのパリ・フォーミュラEレースは成功したと言えよう。しかし、レースとしてはどうか? コース幅が狭すぎて追い抜きが困難で、激しいバトルを見ることはできなかった。これは今回に限らず公道を使用するフォーミュラEの課題かもしれない。

 もうひとつの課題は、せっかくの市街地レースでありながら、コース全周をコンクリートの壁と金網フェンスが取り囲み、スタンドの設置も貧弱で、決して観客の視点に立って作られたコースとは言えなかった。FIAの安全規則だと言われても、本末転倒な面は否めない。テレビ放映を見てくれというなら、わざわざ大都市の真ん中で開催する意味はない。

 大勢の人々が肌で感じ、自分の目で見ることができるレースを提供するために、大都市の市街地で開催しているのではないか。フォーミュラE協会はその点を熟考して欲しい。フォーミュラEを独善的なイベントにしないためにも、大勢の人々に対して扉を開き環境を考えてもらうためにも、より観客フレンドリーなイベントにしてもらいたい。

(文:motorsport.com/赤井邦彦)

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