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初勝利のサンウルブズが見せた「変化」
日本ラグビーの進化を証明する白星

アルゼンチン代表が主体のジャガーズを撃破

勝利を決定づけるトライを奪い、喜びを爆発させるサンウルブズの選手たち
勝利を決定づけるトライを奪い、喜びを爆発させるサンウルブズの選手たち【斉藤健仁】

“ 日出ずる国のオオカミ”がついに壁をぶち破った。


 4月23日、今年からスーパーラグビーに参戦しているサンウルブズが、開幕から7連敗という長いトンネルを抜け出し、ついに36対28で歴史的初勝利を挙げた。相手も新規参入したジャガーズで、先発に2015年ワールドカップでベスト4に進出したアルゼンチン代表11人をそろえる強豪だった。


 前節は、4連戦のツアー最後の試合で、疲れ、頭痛や腹痛の体調不良、ケガ人、不慣れな高地での試合といった影響もあり、チームとして戦うことができずチーターズ(南アフリカ)にリーグワースト2位の92失点で大敗。「今回も勝利が得られなかったら、前回の試合が本来の姿と思われても仕方がなかった」とサンウルブズのマーク・ハメットHC(ヘッドコーチ)が危惧する中、選手たちは攻守に渡って体を張り続け、1万4940人のホームの大声援を背に、初白星を飾った。


 僅差でもなかなか勝てなかったこれまでの厳しく、つらい連戦の中、待ちに待った勝利だった。ノーサイドの瞬間、選手たちだけでなく、コーチ、スタッフも涙を流し、喜びを爆発させていた。会見に出てきたハメットHCも「選手の努力の甲斐あっての結果。選手たちを誇りに思います。コーチボックスで見ていて思いがけない涙が出ました」と目を赤くしていた。

苦しんできたスクラムで健闘

スクラム自慢のジャガーズを相手に、マイボールは100%キープに成功した
スクラム自慢のジャガーズを相手に、マイボールは100%キープに成功した【斉藤健仁】

 それでは、サンウルブズが、なぜ勝つことができたのか。ひとえにチームで一丸となって組織的に戦うことができたからだ。


 リーダーの一人で“自称副キャプテン”のCTB立川理道が「今日はスクラムが安定して、しっかりとFWがボールを出してくれた。BKよりもFWのおかげ」と言えば、HO堀江翔太主将は「BKが僕らFWを信じてスクラムを任せてくれて、僕らもBKを信頼していたのでスクラムに集中できた。チームがひとつになったと思う」と勝因を語った。


 その中でもFWのセットプレーの安定が大きかった。マイボールラインアウトのキープ率は9/11、スクラムに関しては10/10の100%だった。まず、ラインアウトに関してはショートラインアウト(人数を少なくするラインアウト)や、FLに長身の細田佳也、後半途中からファティンガ・レマルが入ったことで選択肢が増えた。


 開幕から、専任コーチ不在で、一番苦しんでいたのがスクラムだった。ハメットHCが選手とコミュニケーションを取りながら、8人で低く組むことを意識しつつ、少しずつ修正していた。その成果も出て、この試合は安定していた。前節、「(クラウチ、バインド、セット)のセットの声の瞬間に相手は組んできてやられた」とPR三上正貴は反省し、しっかり“セット”の声と同時に組み合った。また三上は「後ろからの押しも良かった」とバックファイブの味方もたたえた。

相手DFの隙を突いた2本のトライ

相手DFの裏をついて、トライを奪ったカーペンター
相手DFの裏をついて、トライを奪ったカーペンター【斉藤健仁】

 16対25と、この試合で一番得点差をつけられた後半16分に生まれたCTBデレック・カーペンターのトライも、後半39分のCTB立川のだめ押しのトライもスクラムが起点だった。


 またオールブラックスのHO出身の指揮官も「セットプレーは、毎試合、毎試合、100%努力しないと成立しない。シーズンを重ねて強化していくもの。前回の試合からの教訓ですが、劣勢になっているとき、機能していないとき、一人でどうにかしようと頑張るのではなく、今日はチームが結束することができた」と振り返った。


 カーペンターのトライは、前半はSOトゥシ・ピシとCTB立川のループプレー(一度相手に渡してもう一度もらうプレー)に対し、相手のDFが流れていた。その隙を見逃さず、3人で話し合って、後半はループと見せかけて、その裏をついて、カーペンターがアングルをつけて走り込んでトライを挙げた。


 最後のトライも、スクラムからボールを出すときにFLとNo.8の間からボールを出して、ピシがフラットに仕掛け、「そこを狙っていた」という立川がオフロードパスを受けて、中央に飛び込んだ。両トライもスクラムが安定していたからこそ、FWとBK一体となって生まれたものだった。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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