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宮本恒靖が選手に求める“知性”と“個性”
G大阪ユースで始めた新たなる指導者人生

G大阪ユースは開幕2連勝で順調なスタート

開幕戦にグレーのジャケット、白いシャツに紺のボトムスの“勝負服”で臨んだ宮本恒靖
開幕戦にグレーのジャケット、白いシャツに紺のボトムスの“勝負服”で臨んだ宮本恒靖【平野貴也】

 高円宮杯U−18サッカーリーグ2016プレミアリーグ(以下、プレミア)は、東西10チームずつが参加する高校生年代の最高峰リーグだ。“WEST”に参戦するガンバ大阪ユースの新監督が宮本恒靖。チームは4月9日に行われた大津高との開幕戦を2−0で制すると、16日の第2節も神戸弘陵高を4−0で下す順調なスタートを切った。


 宮本監督はG大阪ユースの一期生でもあり、昇格後は12シーズンにわたってトップで活躍。オーストリアのザルツブルク、ヴィッセル神戸を経て11年に現役を退いた。日本代表としてもU−17、U−20、U−23(シドニー五輪)、ワールドカップ(W杯)と全年代の世界大会に出場している。引退後の13年7月にはFIFAマスター(スポーツについて幅広い視点から学ぶ、ヨーロッパを拠点とする大学院コース)を修了。昨年はG大阪のジュニアユースでコーチを務め、日本最高のコーチ資格であるS級ライセンスも取得した。今季は彼にとって、本格的な指導者人生のスタートとなる。


 同じプレミアの京都サンガF.C.U−18は元日本代表DFの森岡隆三が監督を務めており、W杯経験者が育成年代の指導者を務める例が皆無というわけではない。しかしガンバにおける宮本監督は別格のレジェンド。開幕戦にはテレビ局、全国紙と多くのメディアが集まっていた。


「格好ですか? 特に考えてなかったです。万博の人工芝でやるときはジャージでやると思いますが……。今日は違うなっていう感覚でした」(宮本)


 万博記念競技場で行われた開幕戦の“勝負服”はグレーのジャケット、白いシャツに紺のボトムス。足元はアディダスのスニーカーだった。彼にとっては特に気取りのない私服でも、いや応なく個性が出る。育成年代ならトレーニングウェア、Jリーグの監督はスーツがある種の“制服”となっている中で、ジャケット姿はいかにも彼らしかった。

G大阪ユースの戦いから見える宮本色

高円宮杯U−18プレミアリーグの記者会見に出席した宮本。選手たちに「大人のサッカー選手に早くなろう」と伝えているという
高円宮杯U−18プレミアリーグの記者会見に出席した宮本。選手たちに「大人のサッカー選手に早くなろう」と伝えているという【写真は共同】

 G大阪ユースの指導を始めて3カ月。その戦いからはすでに宮本色が見て取れた。攻撃のときは「4−3−3」だが、守備に移ると「4−4−2」の守備ブロックを築く。相手にボールを持たれる時間帯も、不安定にはならない。G大阪ユースはそんな試合運びをしていた。彼らは宇佐美貴史のような技巧派を世に送り出してきたJリーグ屈指のアカデミー組織。遊び心を持った、見て楽しいスタイルは今年のチームも変わらない。ただ相手を封じる、ボールを奪うという要素があって、サッカーは初めて成立する。


 宮本監督もこう口にする。「ゴールを目指すサッカーをしなければいけないと思っていますが、相手にボールを持たれる時間もある。そういったときは全員で相手のボールを奪う泥臭さも必要。自分たちの時間帯、相手の時間帯が試合の中にはある。それを敏感に感じながらサッカーをしていこう、大人のサッカー選手に早くなろうと伝えています」(宮本)


「守備はさすがだなという感じです」。背番号10を背負うFW食野亮太郎は証言する。引退してすでに4年以上が経つ宮本監督だが、ユースの練習メニューに選手として加わることもあるという。食野は「対峙(たいじ)することが多いんですけれど、削り方はヤバい(笑)。『これが世界レベルか』というタックルを受ける」と恒さまの“裏の顔”を暴露する。元日本代表CB(センターバック)の力量を生かした、身体を張った指導もあるようだ。


 就任してから宮本監督が一度だけ選手たちを“シメた”こともあったという。プレミア開幕5日前の練習時のこと。「ぬるい雰囲気で、タラタラ用意をしていたら『ふざけるな』って……。それから締まりました。怒ったら怖いです」(食野)


 もちろん普段の“恒さま”は「楽しいし、優しい。選手とコミュニケーションも取ってくれる」(食野)とのことだからご安心を……。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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