九産大の絶対的エース・高良にプロも注目 「今年は全国4強とプロ入りを目指す」

高木遊

完成度でいえば九産大で一番

昨年の全日本大学選手権の1回戦・仙台大戦ではことしDeNAドラフト2位の熊原と投げ合い、被安打2、16三振を奪って完封勝利を挙げた 【写真は共同】

 だが、「合流して早々ですよ。当時のコーチが“興南から来た高良がいいです”との報告をしてきたので、見てみたら“キレの良い球投げるなあって”。そこで初めて興南のエースもしていたと知ったんです」と大久保監督の目に留まり、1年春からベンチ入りを果たした。

 そうして実戦経験を積んでいくことに加え、2学年上の浜田から学ぶことがとても多かったと高良は話す。
「ピンチになればなるほどギアが上がっていく感じが目に見えて分かりました。完投するための力の入れどころや投球術を学びました」と振り返るように、高校時代に持て余していた才能が徐々に開花していった。

 成長を見つめてきた大久保監督は「プロに行ける投手かもと感じたのは3年春ですかね。やっぱり両サイドのコントロールミスが少ない。それでボールも140キロを超えて、ストレートで三振を奪えます。制球力や球のキレ、変化球の精度。完成度でいえばこれまでの九州産業大の投手で一番ではないでしょうか」と期待を寄せる。

常に飄々とした立ち振る舞い

数々の好投手を育成してきた九産大・大久保監督(写真右)をして、高良は「完成度でいえばこれまでの九州産業大の投手で一番」と評価する 【写真=高木遊】

 高良とのインタビューでは、決して饒舌ではなく人見知りのような印象さえ受けた。大久保監督も「性格はマイペースですよ。私の前でも全然喋らないし」と笑いながらも、「ただマウンドに上がってもマイペースで、飄々と打者に向かっていきます。どんなピンチの場面で抑えても表情変えずにベンチへ戻ってきますね」と、マウンドでの立ち振る舞いを高く評価している。

 2年連続で選手権8強を果たしており、4年生には入学前から期待の高かった温水賀一(都城商高)や森川祐至(熊本商高)の両右腕もおり、今年はさらなる躍進が期待される。大久保監督は「1回戦2回戦のフレッシュな状態の高良で、東京六大学や東都の代表校と対戦してみたいですね。どれくらい通用するのかなって」と青写真を描く。

 また、高良も、淡々と話しながら「今年は全国4強以上とプロ入りを目指したい」と力強く言い切った。現在は右足内転筋を痛めており4月20日から開幕する福岡六大学リーグの開幕戦登板は微妙だが、まずはコンディションをベストに整え、ひた向きに黙々と目標へ邁進していく覚悟はできているようだ。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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