皐月賞を最強データツールで徹底分析! 『いち押し馬』と『割り引きたい馬』

JRA-VANデータラボ

皐月賞を勝つなら、芝2000m戦は勝っちゃダメ!?(浅田知広)

 芝2000m戦の実績から皐月賞を考えてみたい。

 皐月賞はその04年当時も現在も、変わらず中山芝2000mで行われている。しかし、そこに至る過程には大きな変化があり、近年でいえば一昨年の京都2歳S(京都芝2000m)の重賞昇格や、旧ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)が、G2のホープフルS(中山芝2000m)となったことなどが挙げられる。また、2歳新馬戦も早い時期に中距離戦が増え、04年は計180レース中、芝2000m戦はわずか9レースに過ぎなかったが、昨年は228レース中20レース。それだけ、皐月賞と同距離のレースに出走する機会は増えている

 そうなると当然、皐月賞も距離実績を持つ馬が多く勝ちそうなものだ。ところが、である。過去5年の皐月賞の優勝馬を見ると、オルフェーヴル、ロゴタイプ、イスラボニータ、そして昨年のドゥラメンテと、なんと5頭中4頭が芝2000m戦未経験馬だった。残る1頭、12年のゴールドシップも芝2000m【0.1.0.0】で、ラジオNKKEI杯2歳Sではアダムスピークの2着に敗退。つまり過去5年、芝2000mの優勝実績馬から、皐月賞馬は1頭も出ていないのだ。

 また、芝2000mといえば、トライアルの弥生賞が重要なステップレースとなっている。しかし、その弥生賞の優勝馬は過去20年【3.3.4.8】で勝率16.7%、単勝回収率27%止まり。優勝した3頭は、01年のアグネスタキオンと、05年のディープインパクトがデビューから2000mばかり3連勝。そして10年のヴィクトワールピサは芝1800m戦2着の後、2000mでは4連勝を飾っていた。この距離2連勝以下、あるいは敗戦経験のある馬になると、たとえば09年のロジユニヴァースは芝2000m2連勝中だったが、本番の皐月賞では1番人気で14着に大敗するなど、弥生賞馬は勝利には届いていない。

 今年の人気どころでは、きさらぎ賞を制したサトノダイヤモンド、弥生賞を制したマカヒキなどが芝2000m優勝実績を持つ。1着候補として「割り引きたい馬」を特に1頭に絞るなら、弥生賞を「勝ってしまった」マカヒキ。無傷の3連勝中だが、芝2000mは若駒S、弥生賞の2連勝。新馬戦は芝1800mのため、上記の条件はクリアでない。前述のロジユニヴァースはみなさんご存じの通り、続く日本ダービーでは巻き返して優勝を果たしているが、皐月賞の1着候補としては割引が必要だ。

 では1着候補はというと、芝2000m戦を勝っていないエアスピネルやロードクエストあたりになるが、実績が実績だけに、そう極端には人気を落とすこともないだろう。そこで少し視点を変えて、2〜3着候補も含めた「上位人気以外の好走馬」を見ると、逆に芝2000m実績は重要な要素になっている。過去10年、皐月賞で6番人気以下だった馬は【3.5.3.116】と11頭が馬券に絡んでおり、そのうち、芝2000mの出走経験がなかった馬は06年の皐月賞馬・メイショウサムソン1頭だけ。ほかに08年1着のキャプテントゥーレ(弥生賞4着)、同年2着のタケミカヅチ(同3着)は芝2000mで連対実績を持たなかったが、残る6番人気以下の好走馬8頭は、芝2000mのオープン・重賞で連対実績を持っていた

 今年の人気順はフタを開けてみなければわからないが、たとえば芝2000mの京成杯1着以来(10年3着のエイシンフラッシュが該当)となるプロフェット。あるいは、スプリングS7着のドレッドノータス(07年にサンツェッペリンが同レース8着から2着)などが該当するだろうか。

 そんな中でも特に、若葉Sでハナ差2着に惜敗したナムラシングンに注目したい。6番人気以下の好走馬は09年以降では6頭を数えるが、このうち、09年8番人気2着のトライアンフマーチ、10年6番人気2着のヒルノダムール、そして14年8番人気3着のウインフルブルームと、半数の3頭は若葉S2着馬なのだ。その若葉Sではアドマイヤダイオウに敗れたとはいえ、ゴール寸前まで先頭で、3着には8馬身の差をつけていた。この敗戦で人気を大きく落とすのなら、ここはぜひとも狙ってみたいイチ押し穴馬だ。

いち押し馬:ナムラシングン
割り引きたい馬:マカヒキ

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