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北島康介「本当に幸せな選手生活だった」
現役引退会見 一問一答
北島康介が正式に引退を表明。時おり冗談も飛び出すなど、和やかな会見となった
北島康介が正式に引退を表明。時おり冗談も飛び出すなど、和やかな会見となった【写真:アフロスポーツ】

 競泳の北島康介(日本コカ・コーラ)が10日、東京辰巳国際水泳場で記者会見を開き、現役引退を正式に表明した。


 スーツ姿で現れた北島は、冒頭で「今大会の競技におきまして、現役生活を退き、引退することを皆さまにご報告させていただきます。今まで応援してくださった皆さま、本当にありがとうございます」とあいさつ。終始和やかな雰囲気で行われ、最後には「来ている人(=報道陣)が昔からの人過ぎて、ちょっと涙も出てこないですね」と語り、笑いを誘っていた。


 北島はリオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権(4日〜10日)で100メートル、200メートルと平泳ぎ2種目とも出場権を獲得できず、5大会連続の五輪代表を逃していた。


 以下、北島と、同席した平井伯昌コーチの一問一答。

「本当に悔いはない」28年間の競技生活

――最後のレースから2日経った。今の気持ちは?


 変わらないです。早かれ遅かれ自分には引退が近付いているというのは、もう分かっていたことですし、(8日の)200のレースを終えて自分が皆さんに言ってきたように「これが最後だ」という気持ちは変わらず今日を迎えました。


――28年間の競技生活。どんな水泳人生だった?


 なかなか簡単な言葉では言い表せません。ただ1つ言えるのは、幸せな選手生活を送らせてていただいたということです。また、小さい時から面倒を見てくれて指導してくださった平井先生がいたからこそ、五輪で金メダルを取ることができましたし、応援してくれる仲間がいたからこそここまでやって来られたのではないかなと思います。


――今までで一番記憶に残っているレースは?


 1つを挙げるのはすごく難しいですね。金メダルを取ったときのレースが一番興奮できたのは事実ではあるんですけど、どのレースもすごく記憶に残っているというか。小学校の時に出たトビウオ大会で勝てずに優勝できなかった思い出とか、全国中学で初めてライバルに勝てた試合とか。五輪で勝つ喜びは確かにうれしかったんですけど、今こうして終えてみると、どのレースも思い出深いですね。もちろんこの間の200のレース(8日の日本選手権・男子200メートル平泳ぎ決勝)も非常に記憶に残る、自分のレースだったと思います。


――五輪を逃して競技生活を終わることをどう捉えている?


 リオに行けないというのは非常に残念ですし、それを実現できなかったのはやはり僕自身に責任がありますし、応援してくれた方、信じてくれた方の期待を裏切ってしまう形になったのは非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、今大会のレースを通じて、今僕が世界で戦えるかと言ったらまだ全然戦えるレベルではないですし、その辺の現実というのをこの試合を通じて思い知らされたというか。そういった意味でも自分が(身を)引いて、この後世界で戦う若手を本当に応援したいなという気持ちです。


――真剣勝負の水泳はしないとのことだが?


 そこが寂しいです、正直。この五輪選考会に限らず、水泳に飛び込む緊張感だったりとか、それまでやってきた練習の自信とか。レースは1分、2分で終わってしまいますけど、それまでに踏む過程というのがやはりすごい濃いので、その時間がなくなってしまうというのが心に穴が開いた感じにこれからなってしまうのかなあとも思いますし、ここまで長く真剣勝負をさせてもらえたことが本当に幸せな選手生活だったと思いますので、本当に悔いはないです。

五輪は「僕らしく、一番興奮できる場所」

平井伯昌コーチとは中学時代から師事を仰ぎ、まさに二人三脚の現役生活だった
平井伯昌コーチとは中学時代から師事を仰ぎ、まさに二人三脚の現役生活だった【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――師弟関係にある平井コーチとの一番の思い出は?


 平井先生が北島康介というレールを作ってくれたと思いますし、「一緒に五輪を目指そう」「五輪で金メダルを取ろう」と言ってくれたから、自分も最初は半信半疑だったというところもあるんですけれど、平井先生だから付いていける、本当に自分の夢が実現できるって思わせてくれました。それに20年以上、途中で少し離れちゃったんですけど、またこうして平井先生の指導を受けることができて、また若い選手たちと一緒に練習することができて、勢いがあった自分とは違った、吸収すること、勉強すること(があり)、また平井先生の指導を受けることで、この半年間くらい水泳に真剣に向き合えたので、本当に言葉で表せないくらい感謝しています。


――平井コーチから掛けられた言葉で一番うれしかったのは?


 もちろん良い記録を出して、金メダルを取ったときに掛けられた言葉であったりとか、平井コーチとは一緒に作り上げてくれたという意識が僕の中ではすごく強くて。練習でも何でも相談してきてくれるところだったりとか、全部自分の心を見透かされているような……。だから嫌なとき、嫌な顔をしていたときも、先生はグッと我慢してくれることももちろんありました。そういった意味で、「これだ」というのはなくて、全部がかけがえのない思い出だと思います。優勝しても(平井コーチが)「次はこうしていこう」とか、先の先の目標があったので、それにもう一生懸命に付いていく、自分もその目標に負けないようにするということの方が、若い時はそれでいっぱいいっぱいだったかもしれないです。


――これからの若い選手に言葉を掛けるとしたら?


 僕から言えることはあまりないかなと思います。今回出てきた若い選手たちを見ていると本当にうれしく思いますし、何かまたやってくれるんじゃないか、日本の水泳界を楽しませてくれるんじゃないかという期待が高まるようなレースを今回、たくさん見させてもらいました。若い選手も中にはいると思うので、温かく見守ってほしいなという気持ちもありますし、これだけ高いレベルの記録を出して五輪に行くわけですが、戦う集団として誇りを持って、悔いのないレースをしてほしいなと思います。


――北島さんにとって五輪とは?


 やっぱり五輪があったから僕は水泳を続けてこられたと思いますし、最初に夢を持ったのが五輪なので。それは誰もが憧れる五輪で、スタートはどのスイマーとも同じだと思うんです。そこで負ける悔しさだとか、勝ちに行くためのその過程ですよね。4年間、良い思いも苦しい思いもたくさんして取った金メダルであったり、本当に忘れられない五輪に4回も出させてもらって、4回も良い思いをさせてもらって、「出すぎだろう」と思われるかもしれないけど、僕が僕らしく、一番興奮できる場所なんだなと。それが五輪という場所だと思います。


――その興奮できる場所が東京にやってくる。東京五輪のときにどうありたいか、北島さんの未来とは?


 もうちょっと早く来てほしかったなというのが本音なんですけど、そうしたらもう少し成績が変わってたんじゃないかなという(一同爆笑)。ただ、僕が生まれ育った町、東京に五輪が来るということが、自分が出られないのは分かっているんだけど、とても逆に興奮してしまいます。すごく楽しみな大会になると思いますし、きっと今回選ばれた選手たちで東京に出ていく選手たちが多いと思いますので、頑張ってほしいなと思います。

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