錦織&ラオニッチが果たす大きな役割 “ビッグ4”のほころびを見たマスターズ
“ビッグ4”に挑み続ける錦織&ラオニッチ
26歳の錦織と25歳のラオニッチ。同世代の2人が“ビッグ4”崩しをけん引している 【Getty Images】
また、ジョコビッチ以外の“ビッグ4”に目を向ければ、ロジャー・フェデラー(スイス)は2月に膝の手術をしたためインディアンウェルズは欠場、復帰予定だったマイアミも試合直前で棄権した(理由は胃のウイルス性疾患)。ナダルはインディアンウェルズで錦織を破りベスト4まで勝ち進んだが、マイアミでは試合中に体調を崩して途中棄権。マリーは3月初旬のデビス杯対日本戦での心身の疲労が尾を引いたか、両大会とも3回戦で敗れた。彼らが依然、テニス界を支配しているのは厳然たる事実だが、徐々にほころびを見せ始めてもいる現状もある。
今回はその隙間を縫うように、錦織とラオニッチが頂点に肉薄した。さらにはマイアミで錦織と準決勝を戦った20歳のニック・キリオス(オーストラリア)や、インディアンウェルズでナダルをマッチポイントまで追い詰めた18歳のアレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)など、より若い力も押し寄せている。一人では打ち破るのが困難な壁も、波状攻撃をし掛けることで、崩せる可能性は高まるだろう。
「次こそ、ノバクをやっつけたい」
マイアミ・オープン準優勝者として、セレモニーでマイクを手にした錦織は言った。
「次こそ、ノバクをやっつけてやりたい」
次いでマイクを握った優勝者は、錦織に「素晴らしい2週間をおめでとう」と賛辞を贈ると、「次も、やられる訳にはいかないよ」と応じて笑いを誘った。
「次」を口にできるのは、すでにその場に到った経験を持つ者だけの特権だ。
錦織は、その特権的な地位にいる、数少ない選手である。