引退する小塚崇彦がファンの質問に回答 佐藤信夫コーチを怒らせた出来事とは?

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ファンから寄せられた質問に答える小塚。時には苦笑いを浮かべるシーンも 【スポーツナビ】

「質問は集まりました?」。小塚崇彦(トヨタ自動車)は部屋に入ってくるなり、そう尋ねてきた。今回のインタビューに際し、スポーツナビで運用するフィギュアスケートのtwitter(@sn_figure)で質問を募集したのだが、小塚もそれを認識していたようだ。幸い数多くの問いが寄せられたので、そう伝えると頬が緩んだ。

 時間の関係もあり、すべての質問はぶつけられなかった。真面目なものから緩いものまでさまざまだったが、小塚は丁寧かつ冗談を交えて答えてくれた。

修士論文を見たい方は大学の図書館で

――今回はファンの方々からも質問を募ったので、お答えいただければ幸いです。それではまず、小塚選手からみてスケーティングの基礎がしっかりしているなと感じる選手は誰ですか?

 パトリック(・チャン)ですね。やっぱり前後左右どのターンを描いてもぶれないし、きっちりとターンを描いている。そこは基礎をしっかりとやってきているんでしょうね。今は亡くなってしまったんですけど、(オズボーン・)コルソンさんという先生がいまして、その先生がきちんとコンパルソリー(編注:氷上を滑走して決められた図形を描くこと)からやってきたんじゃないかなと思える、そんなスケートをしています。それに加えて、普通はトーステップをやると詰まりがちになるんですけど、パトリックはそのトーステップでさえも滑っているかのように流れている。そこはやっぱり彼の一番の魅力だと思うし、すべてのエレメンツを通じてひとつの作品として成り立っている。それが彼のスケートを表しているんじゃないかと思います。

――小塚選手によるブレード開発は今後どうなりますか?(編注:小塚は愛知県の企業と協力してブレード開発に携わった)

 基本的に2年間使って問題なかったので、このままいこうと思っています。無良(崇人)くん(洋菓子のヒロタ)が今年使ってますし、木原万莉子ちゃん(京都醍醐FSC)も使ってくれています。あとは本人たちの感覚的な問題です。無良くんは無良くんでもうちょっと重い方がいい、軽い方がいい、長い方がいいとかあると思うし、木原万莉子ちゃんもそうだと思います。僕自身としては良いものができたと感じています。あとはもう定着する段階に来ていると思うので、僕が離れても全然問題ないと思います。

美しいスケーティングに持ち味があったからこそ、小塚はブレードにこだわった 【坂本清】

――先日、大学院を卒業されていましたが、修士論文のタイトルと概要を教えてください。

 タイトルは長いので覚えていません(笑)。なんとなくで言いますよ。「フィギュアスケートにおけるフリップジャンプとルッツジャンプの股関節・膝関節・足関節の運動学的解析 トップクラススケーターを対象として」とかそんな感じです(笑)。

 概要としてはルッツとフリップを比較したんですけど、時間がなさすぎて下半身だけになっちゃったという(苦笑)。でも下半身で各関節や各足なんかを比較したので、ちゃんと論文にはなっているとは思います。ルッツとフリップの飛び方で何が違うかというところを調べたんですけど、数点違いは見られてもそんなの人間の感覚では分かるところではなく、実際のところほぼ同じような感覚で跳んでいるから、ごっちゃになりやすいし別々に習得したほうがいいよ、という結論に至った感じですね。

 細かいところはおそらくもっとあって、離氷の瞬間にどれだけ肩が回転しているかとか、腰が回っているかとかそういうところまで全部調べないと、たぶんルッツとフリップの違いは出てこないんですよね。ただ、そこまでは調べることができませんでした。なんか、ネットに載るとかいう話も聞きましたが、たぶん大学の図書館に行ったらあると思うので、見たい人は見てください。

――いつかこれを発表することは……。

(即答で)ないです! かぶせ気味に言っちゃいましたね(笑)。どこかで勝手に見てください。ご自由です。

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