【RIZIN】 田村潔司が参戦表明「楽しませる」 グラップリングで桜庭&所と激突

スポーツナビ

田村潔司(中央)のRIZIN参戦が正式発表 【スポーツナビ】

 4月17日に開催される格闘技イベント「RIZIN.1」(愛知・日本ガイシホール)の記者会見が1日に行われ、UWFインターナショナル、PRIDE、DREAMなどに参戦していた田村潔司の正式参戦が発表された。

 田村の参戦に榊原信行実行委員長は「個人的に待ちに待っていた」と興奮気味に語り、「個人的には非常に思い入れがあって向き合わせていただいた選手」と紹介した。今回、田村は、電撃復帰と参戦を決めたヴァンダレイ・シウバとタッグを組み、桜庭和志&所英男とのグラップリングによるダブルバウト形式で戦うことになった。
 格闘界を見回しても真新しいこの試合形式について高田信彦統括本部長は、「実戦であり、実験であり、むしろ1発目のグラップリングのダブルバウトの実現というのは、この4人だから任せられる。このカードをしっかりといい作品として、『グラップリングのダブルバウトは面白いじゃないか』と、言われるような作品を残してもらいたいなと思っている」と高い期待感を持っている。

 一方、田村本人は3月25日に行われた『巌流島』(東京・TDCホール)のメインイベントで判定負けを喫し、さらにその試合で鼻骨と頬骨に3カ所の骨折を被った。それでも「出る以上は、来て下さった観客やファンの皆さんを含めて、自分の試合を楽しんでもらえる試合をしたい」と意気込み、けがを言い訳にしない戦いを見せると誓った。

 以下は、会見でのコメント。

榊原委員長「とても贅沢なタッグマッチ」

榊原実行委員長は田村を「思い入れのある選手」と話す 【スポーツナビ】

登壇者:田村潔司
高田信彦統括本部長
榊原信行実行委員長


榊原実行委員長「個人的に待ちに待った(選手の参戦)。本当に何年かぶりに格闘技界に戻らせていただいて、自分が格闘技界を2007年に去るタイミングで、田村選手と桜庭選手にリングに上がっていただいて、自分の時代には実現しなかったけれども、田村潔司と桜庭和志の試合が本当に見たかったし、試合を組ませてほしかった。それが自分の最後の置き土産といいますか、未来の夢として残していかせていただきました。

 その後、田村選手と桜庭選手の試合は実現された(08年12月31日の「Dynamite!!」)のですが、残念ながら自分自身、格闘技界に関わることができなかった時代に起きたことなので、当然試合も生で観戦することもできなかったですし、個人的にはいろいろな思いもあって、ずいぶん経ってから映像で見ることになりました。

 今回のグラップリング・タッグマッチにしようと思ったひとつの理由は、やはり田村潔司、桜庭和志、そしてヴァンダレイ・シウバ。ヴァンダレイが戻ってくるという中で、彼を軸と考えた時に桜庭と田村という両雄が、何らかの形で絡み合う、もう一度真剣勝負の舞台で肌を合わせる姿が見たいなと。ある意味、見方によってはとても贅沢なタッグマッチがグラップリングマッチになると思います。

 何としても田村潔司に出てほしいということで、『巌流島』(の参戦)が発表になった後だったのですが、思いを伝えに行き、『もう一度、日本の格闘技、そして世界の格闘技に求心力をつけるというか、その思いが選手やファン、関係者に届いていくために一肌脱いでほしい』と。ここは是非、出てほしいと田村選手に伝えました。それで『巌流島』の結果を待っていました。結果が見えないとどうにもならないので。ただ思いは共有できているかなという中で、『巌流島』の試合結果(判定負け)を受けて、『これは出れないな』と思いました。関係者の方から田村選手が相当ダメージを受けていて、顔面も骨折しているという話だったので、『また出れないのか……』と。残念だなと思いました。それで翌日、翌々日からいろいろ話を始めて、けがの具合を本人から聞いて、条件も把握した中で、われわれは『難しいだろう』と思っていましたが、田村選手はやると。日本の格闘技界をもう一回動かすために、一歩踏み出しますと言ってくれました。

 正直けがもあります。そういう状況ではありますが、田村潔司の熱い思いと言いますか、男気に、主催者としてはどうなんだと。顔面をけがしている選手を出していいのかと思われるかもしれませんが、ここはプロレスラー魂も含めて、3週間ありますし、グラップリングマッチということも含めて、試合を決行することで、主催者として決断をしました。

 よって桜庭和志&所英男組vs.ヴァンダレイ・シウバ&田村潔司組によるダブルバウトを発表させて頂きます。グラップリングの面白さ、ダブルバウトのゲーム性、そこには本当の真剣勝負だからこその空気感がふんだんに詰まった色気満載のカード、試合になると思います」

高田本部長「彼の戦いを若い世代に伝えてほしい」

高田統括本部長も今回のグラップリング・ダブルバウトに大きな期待を寄せる 【スポーツナビ】

高田統括本部長「本来であれば年末の大会のどちらかに出てもらいたかったファイターの1人です。それは残念でしたが、RIZINのレギュラーイベントである『1』に、けがを背負った形ですが、カードの中にラインアップされたことを、私自身、幸せに思います。

 グラップリングのダブルバウトというと、榊原委員長の決断もひとつの賭けだと思うんです。グラップリングであるし、ダブルバウトでもあるし。その前後には若い選手のつぶしあいが並んでいるわけです。そこにボコっとね。例えこの4人がそろっていても、それに負けないような、緊迫感のある、目の離せないような試合ができるかどうか。実戦であり、実験であり、むしろ1発目のグラップリングのダブルバウトの実現というのは、この4人だから任せられるというのがあると思うんです。このハイレベル、トップレベルの4人だからこそ、このカードをしっかりといい作品として、RIZINのスタイル、『グラップリングのダブルバウトは面白いじゃないか』と、むしろ毎回大会で観たいと言われるような作品を残してもらいたいなと思っています。高い期待を抱いています。

 いろいろ思い入れのある田村選手に久々に会えるということで、いろいろなことを車を運転しながら、頭によぎりました。入門当初のこともはっきり覚えているし、UWFが解散して、Uインターになった時に、どうしても、田村潔司というのは、高い素質を持っていて、未来に向けてとてつもないものを見せてくれるんじゃないかなというポテンシャルをみんなが感じていたので、『田村潔司をうちに預けて下さい』と。彼の岡山の実家までご両親にあいさつに行った。あれから約30年経っているんです。

久しぶりの再会に抱き合ってあいさつする高田統括本部長と田村 【スポーツナビ】

 彼の戦跡を見たら、非常に激しい戦いの歴史を歩いてきた。にも関わらず、今回はけがを背負ってはいますけど、これが『無事これ名馬なり』という、この年代の、ここまでの激戦を体験、経験してきたファイターとしては、そんなに大きな傷を負っていないんです。そこもやっぱり彼の強さだと思います。今46歳ですが、その彼が自分の歴史を背負って、まだこの壊れていない体で、今まで培ってきた経験、これをRIZINのリングに上がって、これを若い世代に、田村潔司の存在感を、教え伝えていく役割を担っていくのが使命感としてあると思います。継続してこのリング上で田村潔司の戦いをファン、そして若いファイター、これからこの競技を目指す若者に見せてほしいし、伝えてもらいたいと切に願っています。

 あと皆さんも感じていると思いますけど、なかなかこの田村のような色気を持ったファイターというのはいないんです。強いファイターはいくらでもいる。がんがん行くファイターもたくさんいる。でも唯一無二の、これは田村にしか出せないというファイトスタイル、たたずまい。これをまた目の前で見られると思うと、今から非常に4.17が楽しみで仕方がないです」

田村潔司「『RIZIN』という舞台は甘くない」

田村は「出る以上はファンに楽しんでもらえる試合をする」と意気込みを語る 【スポーツナビ】

田村潔司「今回、RIZINに参戦させていただくことを、自分なりの考えで決断させていただきました。出る以上は、きてくださった観客やファンの皆さんを含めて、自分の試合を楽しんでもらえる試合をしたいと思います」

――ダブルバウトについてどう思うか?

田村 グラップリングのダブルバウトというのは初めての経験ですが、いろいろな可能性が、ダブルバウトによって、組み合わせが可能になるので、非常に面白いと思います。

――けがの状況は?

田村 経緯として、自分はけがしたことを公表するつもりはありませんでした。しかし榊原代表と話をさせていただいて、けがは隠さなくてもいいだろうということで。先週に『巌流島』の試合が終わりまして、その直後に病院に行きました。鼻骨と頬骨を3カ所、1カ所は完全骨折で手術をすすめられたのですが、『巌流島』の試合以前から榊原代表と、今回の『RIZIN.1』の出場を要請されていまして、『巌流島』が終わってからと僕は伝えていました。今まで榊原代表なり、高田さんなり、総合格闘技を引っ張ってこられたので、もちろん谷川(貞治『巌流島』事務局広報担当)さんにも、格闘技界に対して、貢献されている方々なので、特にPRIDE時代は、榊原代表にお世話になっていたので、正直、試合後に病院に行ったときには、『RIZIN.1』のタッグマッチの出場は断念したんですが、時が経つにつれて、自分の不甲斐なさを含めて、こういう機会をいただいて、僕自身、これから先も長くはないですし、お話をいただける時点で光栄だと思い、出場することが自分にとってもいいのかなという決断で出場に至りました。

――試合後に練習はしましたか?

田村 試合が終わってからは安静にしているので動いていないです。幸い、しびれはないですし、単純に骨が折れたという状況ですね。

前回の試合によるけがはあるものの、「前面に打ち出したくない」と覚悟を決めてRIZINの舞台に臨む 【スポーツナビ】

――日常生活への支障は?

田村 僕としてはけがをどうのこうのというのは前面に打ち出したくないですし、そこまで『RIZIN』という舞台は甘くないので、そこは僕も肝に銘じている部分です。正直、僕自身は総合格闘家としての選手寿命を迎えていますので、いかに今回、桜庭選手、ヴァンダレイ選手、所選手、そして自分。PRIDE時代に熱狂してくれたファンがもう一度足を運んで、その中で僕自身、持てるスキルを出していき、若い、ほかの対戦カードの選手、若い選手に負けないのが勤めだと思っています。

 総合格闘家としては現役を続けていますが、そこまで『RIZIN』という舞台は甘くないと肝に銘じて出場させていただきたいと思います。

――桜庭選手と戦うことに関しては?

田村 個人的には何とも思っていないのですが、榊原さんなり、高田さんなり、桜庭もいろいろこの方達の協力がないと、あそこまで知名度も出なかったと思います。自分自身も、Uインター時代に高田さんにお世話になり、その後、袂は分かれましたが、そういう歴史とかを振り返って、いろいろなパズルが組み合わさって、そういう意味では、ファンの方とかに楽しんでいただければと思います。ただ桜庭選手個人には特にないです。

――試合で一本を取りたい?

田村 一本を取る、という気持ちはないです。僕はもうそこじゃないんです。自分の技術、技術と技術をどうぶつけ合うか。一本を取って喜んでくれる方もいらっしゃると思いますが、僕はそこを見てもらいたいわけではないです。

――RIZINの印象は?

田村 昨年の大晦日に民放で放送されて、今年、来年と勝負の年だと思うので、今後の総合格闘技を改めて作り上げていくためにも、榊原さんなり、高田さんなりが、この2人の力を借りないと大きくならないので、それに伴って若い選手や、下のこれからの選手を育てていければと。そういう舞台になればいいなと思います。
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