パ5球団による“ホークス包囲網”が激化 大谷撃破で突破への糸口をつかめるか

ベースボール・タイムズ

待ち構える“鷹キラー”たち

パ・リーグ5球団の“ホークス包囲網”が激化する中、松田は2年連続日本一に向けて「自分たちもチャレンジャーなんだ、という気持ちでやらないといけない」と力強い言葉を口にした 【写真は共同】

 3年連続日本一を目指す福岡ソフトバンク。中軸を担った李大浩、先発の一角であるスタンリッジが抜け、昨秋のドラフトも将来性重視。元エースの和田毅が5年ぶりの復帰を果たしたものの、大きな補強は見られなかった。それでも、圧倒的な選手層を理由に多くのメディアがソフトバンクの優勝を予想している。そこで語られているのが、パ・リーグ5球団による“ホークス包囲網”だ。果たしてソフトバンクは、この包囲網を突破できるのだろうか。

 各球団がエース級の投手をソフトバンク戦に当ててくるといわれる“ホークス包囲網”。交流戦突入までの間、週前半にソフトバンク戦が多い埼玉西武と千葉ロッテが、それぞれ火曜日に岸孝之、石川歩といった鷹キラーを起用している。北海道日本ハムも火曜日に投げるのは、かつてソフトバンク戦を得意とした吉川光夫だ。

 カード頭に計算が立つエース級を起用するのは当然のことで、そこにソフトバンクに強い投手が揃ったのは偶然なのかもしれない。しかし、これも包囲網のひとつと考えていいだろう。また、交流戦までのソフトバンクの日程を見ると、金曜日に試合がない週が4週あり、その際に開幕投手を務めたエースを中7日でソフトバンク戦に当ててくる可能性は高い。

開幕戦と地元開幕戦で見えた不安

 3月25日、ソフトバンクの2016年シーズンの開幕は、仙台での東北楽天戦だった。相手先発は、侍ジャパンにも名を連ねる則本昂大。その右腕に対して2回までに3点のリードを奪ったが、エース・攝津正のよもやの乱調によって逆転を許し、打線も立ち直った則本に計11三振を喫するなど、3回以降はわずか1安打に抑え込まれた。さらに地元開幕戦となった同29日の西武戦では、岸孝之を相手に7回を5安打7三振で無得点と打ちあぐね、岸に対しては13年からの4連敗となった。

 則本も岸も、それぞれにスライダーやカーブ、チェンジアップといった武器はあるものの、ソフトバンク打線に対してはストレート中心の真っ向勝負を挑み、自らの白星につなげた。ソフトバンクの打線自体が、オープン戦後半から調子が上がっていなかったことも要因ではあるが、対エースという点で多くのファンが不安を抱く結果となったのは事実だ。

 岸に封じられた試合後、工藤公康監督は「そうそう四球が多い投手ではないから、ストレートをどれだけ早く仕留めるかが大事。ただ、いい投手のストレートはそうは打てないから、それが次の課題」と話すと、藤井康雄打撃コーチも「真っすぐを打てないことにはどうにもならない」と口を揃える。

 また、対エース対策としてよく語られるのが「立ち上がりを叩け」ということだ。3月17日に鎌ケ谷で行われた日本ハムとのオープン戦でも、大谷翔平の立ち上がりを攻めて、初回に3点を先制した。しかし、藤井コーチは「立ち上がりがいい投手も悪い投手もいる。基本的なことだが、まずは球数をできるだけ投げさせることが大事」と語る。

1/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント