日本人はスピードと技術で勝負すべき 十種競技ホープが海外武者修行を語る

構成:スポーツナビ
 春の本格的なトラックシーズンを控え、東京五輪を目指す陸上界の“金の卵”たちも冬期練習を終えようとしている。日本陸上競技連盟が安藤スポーツ・食文化振興財団とともに実施している若手の海外活動支援「安藤財団グローバルチャレンジプロジェクト(グロチャレ)」で派遣された選手たちも、いよいよ帰国の時を迎える。

 その1人、2014年に十種競技で学生チャンピオンになった期待のホープ・川崎和也(順天堂大大学院)は、ドイツと米国でそれぞれ、1カ月ずつの遠征をこなした。異国の地で得たものとは何か。23歳の生の声を紹介する。

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世界的な視点で見て気付いたこと

米国でのトレーニングも終盤。26日にはカルポリ招待に出場し経験を積んだ 【写真提供:川崎和也】

 ドイツと米国で計2カ月を過ごし、見通しを立てることができた遠征となりました。

 海外選手と練習して、一番痛感したのは体格差です。体幹部の厚み、重心の高さや腕・脚の長さなど、世界で活躍する選手は素晴らしいものを持っていると感じました。私は身長が180センチあるのですが、ドイツのコーチに「小さい選手はスピードとパワーで勝負するべきだ」とよく言われました。日本では体格面で劣っていると感じたことはありませんでしたが、世界的な視点で見ると自分は体格面でハンデがあることに気づきました。また、米国では歴史的に見て体格面が恵まれた選手が活躍しており、その特徴を生かした競技をしている選手が多いとコーチから聞きました。例えば、砲丸投げのバック投げで2メートル以上差をつけられたことがあり、パワーはかなわないなと感じました。

 この2カ月間で最も変わったと感じたのはコミュニケーション能力です。ドイツ遠征では、コーチや陸上仲間に分かるように英語で積極的にコミュニケーションをとらなければなりませんでした。その結果、一時帰国を経て米国に渡ると、ドイツの時に比べ、より積極的にコーチとトレーニングについてのディスカッションができるようになったと感じています。

現地の陸上仲間ともすっかり仲良しに 【写真提供:川崎和也】

 また、米国では多くの友達ができました。サンタバーバラTCのメンバーや、合宿に来ていたカナダのナショナルチーム、またウエストモンド大学の陸上部のメンバーなど多くの人と関わり、話をすることができました。日本ではあいさつだけで終わることが多いですが、米国ではあいさつの後に「How's going?」(調子はどう?)と続くので、そこから話が膨らみます。また、トレーニング中には良い跳躍や投てきが出ると「Nice!」や「Feel good?」(良かったか?)とやり取りがあり、お互いの感想を言い合ったりしています。日本ではやっている芸人・厚切りジェイソンさんの「Why Japanese People!?」を教えると、面白がって連呼していました(笑)。

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