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福岡堅樹、覚悟のプロ契約で進む道
5年間で2つの五輪、ラグビーW杯へ

日本代表の「過酷な合宿」でも勉強を…

ラグビーと勉学を両立し、筑波大を卒業した福岡堅樹
ラグビーと勉学を両立し、筑波大を卒業した福岡堅樹【写真:アフロスポーツ】

「100%充実していたと思います!」とエディー・ジャパンの韋駄天は笑顔で大学生活を振り返った。


 2015年のラグビーワールドカップ(W杯)で15人制の日本代表として歴史を変えた31名の一人となったWTB福岡堅樹は3月25日、筑波大情報学群を無事に卒業した。今春からトップリーグ3連覇中のパナソニックワイルドナイツに所属するが、8月のリオデジャネイロ五輪まではセブンズ(7人制)に専念する。そんな福岡の大学生活は、多くの人のサポートを受けながら、文武両道を貫いた4年間だった。


 昨年の春から夏にかけてのエディー・ジャパンの長期にわたる「過酷な合宿」においても、福岡は、時間を見つけては勉強をしていたという。続くW杯と大学のシーズンが終わった12月末から、福岡は「まず勉強をしっかりやらないと、どっちつかずになってしまう」と楕円球への思いを封印し、卒業論文の執筆に勤しんでいた。


 アパートにはほとんど寝に帰るだけで、あとは研究室にこもっていた。ウェイトトレーニングは続けたものの、体重も2〜3kg落ちた。ちなみに、卒業論文のタイトルは「画像処理における細胞状態の自動推定に関する研究」。生物画像処理という分野で、「細胞とかの画像を見て、良い状態か損傷状態にあるのか判別する。うまくいけばスポーツ医学にもつながるかも」と説明してくれた。

浪人から筑波大合格。2年で日本代表へ

大学2年秋にはスコットランド代表から2トライを奪い、注目を集めた
大学2年秋にはスコットランド代表から2トライを奪い、注目を集めた【斉藤健仁】

 祖父は医者、父は歯医者という医者一家に生まれた福岡は、高校時代から県では名の知れた選手だった。福岡高校3年時には花園に出場し、「ラグビーも真剣にやりたかったし、医者にもなりたかった」という理由で筑波大の医学部を目指した。だが、浪人しても医学部には合格できず、後期試験で受けた情報学群に進学する。


 1年間のブランクと高校時代に負った両膝の靱帯断裂の影響もあり、デビュー戦となったのは12年11月の日体大戦だった。いきなりダブルハットトリック(6トライ)の離れ業を見せる。続く大学選手権準決勝の東海大戦では快足を活かし、逆サイドから見事なバッキングアップを見せたことが、ジュニア・ジャパン入りにつながった。


 ジュニア・ジャパンでもそのスピードがエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の目にとまり、大学2年になったばかりの13年4月、日本代表入りし初キャップを獲得。6月にはウェールズ代表を破る立役者の一人に。同年11月には、試合には敗れたが、アウェーでスコットランド代表から2トライを奪い、その名を世界にとどろかせた。

W杯で出場は1試合「完全燃焼とは言い切れない」

15年W杯では、敗れたスコットランド戦のみの出場となった
15年W杯では、敗れたスコットランド戦のみの出場となった【写真:ロイター/アフロ】

 その後、7人制日本代表でもプレーしたが、大学3年時はケガで悩まされた。それでもエディー・ジャパンに呼ばれ続けて、15年のW杯メンバーに選出。大学生ながら歴史を変えた31人に名を連ねた。「W杯で3勝というのは快挙なので、そんなチームに関われたことはうれしかった」と福岡は言うものの、良い思い出だけではなかった。福岡が出場した試合は敗戦したスコットランド代表戦のみだった。「勝った時にグラウンドに立っていたかったという思いもあり、完全燃焼とは言い切れない」と正直な気持ちを吐露した。


 さらに同年11月、セブンズの日本代表合宿に招集されるも、五輪のアジア最終予選のメンバーに選出されなかった。ブランクはやはり大きかった。また12月、関東大学対抗戦では帝京大の公式戦連勝を50で止めたが、自身の最終学年で迎えた大学選手権では準決勝に進出することはできなかった。


「(7人制の代表に選出されなかったのは)納得の人選です。まだまだ自分には至らないことがありました。こういった(つらい)経験は悲観的に捉えず、これから先の“バネ”、“ため”と捉えるようにしています」(福岡)

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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