田村潔司がクラブマガの達人に敗れる波乱 初の甲冑合戦も 進化を続ける「巌流島」

長谷川亮

田村潔司はイスラエルの格闘技・クラブマガの達人にまさかの判定負けで連勝ならず 【中原義史】

 格闘技イベント「巌流島 STARTING OVER 公開検証3」が25日、東京・東京ドームシティホールで開催された。
 メインイベントに登場したのは昨年7月の前回大会から連続出場となる田村潔司。イスラエルの格闘技・クラブマガのスペシャリストであるジャッキー・ゴーシュと対戦したが、まさかの敗戦で連勝はならなかった。

クラブマガ達人の打撃に大苦戦の田村

田村は左右のストレートにバックスピンキックも織り交ぜるゴーシュの打撃に苦戦 【中原義史】

 グラウンド制限30秒(通常は15秒)の巌流島特別ルールで試合に臨んだ田村だが、伸びのある左右ストレートを飛ばし、バックスピンキックも織り交ぜるゴーシュに苦戦。左ミドルで応戦したが、ゴーシュはこれを受けるとすぐにストレートをリターンし、田村が闘技場からの押し出しやテイクダウンを狙って組んでも重い腰で許さない。

 最終3R、左ストレートからつないだ右フックを当てた田村はそこから場外への転落を狙うが、ゴーシュも左ストレートで反撃。その後でさらに田村はゴーシュの連打にさらされる。この連打のダメージが響いたか、田村はこの後も組み倒されるようにテイクダウンを喫し、抱え込まれて場外に落とされるなど精彩を欠いて試合終了。

 大会で唯一の判定決着となった一戦であったが、結果は3−0でゴーシュに凱歌。前回はヒールホールドで一本勝ちを見せた田村だが、今回はゴーシュのパンチと腰の重さに絞め・関節技を極める場面まで進むことができず、巌流島連勝はならなかった。

初の甲冑合戦に会場は巌流島の世界へ

槍を使用した甲冑合戦に巌流島の世界へ引き込まれる 【中原義史】

 大会は日本甲冑合戦之會の模範試合で幕開け。ほら貝に呼び込まれ、赤と黒の甲冑に身を包んだ武者たちがホールに姿を現すと、巌流島が放つジャパネスクな雰囲気に一層拍車が掛かる。

 槍は突くより叩いて使われ、接近戦で鎧の隙間から短刀で突くことが決まり手として多く見られるなど、従来の合戦観を変える戦いが展開され、観客を巌流島の世界へ引き込んだ。

カポエイラ大技でさく裂で圧巻KO

カポエイラの達人は片手を地面についての後ろ回し蹴りで相撲出身の中島を圧巻の28秒KO 【中原義史】

 第1試合ではカポエイラのマーカス・レロ・アウレリオが、片手を地面についての後ろ回し蹴りで相撲の中島大志を圧巻の28秒KO。アウレリオはセコンドとともに側転やバク宙といったアクロバティックな動きを連発するカポエイラの舞を見せ、勝利を歓喜した。

 大会はその後もムエタイ、蟷螂拳とKO勝利が連続。ボクシングの渡辺一久と対戦した1500年の歴史を持つシラット(インド)の達人バラット・カンダレは、左インローの連発から同じ雰囲気で左ハイを見舞い、これで渡辺のアゴ先をとらえるとダウンしたところをパウンドで追撃してノックアウト。アウレリオを上回る25秒KOでインパクトを残した。

荒れた試合内容にズールー族がエキサイト

ボビー・オロゴンが送り込んだアフリカ・ズールー族は荒れた試合にエキサイト 【中原義史】

 大会随一のテクニカルな攻防となったのが第5試合のピターリ・クラットvs.アンドレ・ジダの一戦。ハイスピードなパンチが飛び交う試合となったが、3R開始早々、クラットが入ってきたところへジダが左フックを合わせて効かせ、右クロスをフォローして実力者対決を制した(3R0分12秒 一本)。

 アフリカからはボビー・オロゴンがズールー族のボンギンコシ・マドンセラとセネガル相撲のグリス・ブドゥ2を送り込んだが1勝1敗。グリスは2Rに3度の転落を奪ってバル・ハーン(モンゴル相撲)を降したものの、相撲の星風と対戦したマドンセラは両者とも反則を見せて荒れた試合となり、セコンドもエキサイトしてきたことからセコンドのボビーが不穏な空気を察してタオルを投げ入れ、星風の勝利となった。

 大会後、谷川貞治・巌流島広報部長はルールなど細かな改善点はあったものの、「全体的には大成功だと思う」と手応えを感じた表情。次回大会は7月頃を予定しており、東京での開催か、山口県の巌流島や日光で集団甲冑戦の実施といった壮大な計画も口にした。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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