“松坂二世”高田萌生が誓う本家超え 強打の東海大甲府打線も脱帽の投球を披露

楊順行

後半「腕が振れて」9回に146キロ

“松坂二世”の評判どおりのピッチングで強打の東海大甲府打線を1点に抑えた 【写真は共同】

 146キロに、スタンドがどよめいた。しかも、9回。先頭打者・福武修に投じた4球目に、スコアボードは146を表示する。150キロ右腕だからポテンシャルはあるとしても、球数が100球に達しようという時点でのスピードには、福武もあ然として見送るしかない。

「試合が進むにつれて、腕が振れてきました。5回のインターバルで、先生(長澤宏行監督)に”しっかり野球をしろ!”とカツを入れられたのが効いた(笑)。投球というより、フィールディングのミスだったり、バントできなかったり……怖かったです(笑)。バックが3併殺としっかり守ってくれたのも大きいですね。スピードというより、相手が打とう打とうとしているときにはタイミングを外し、スライダー中心に行きました。150キロ? 出れば一番いいですが、まず勝てたことが大きい」

中盤以降のキレが増したスライダー

 とは、創志学園高に甲子園初勝利をもたらしたエース・高田萌生だ。相手は、東海大甲府高。昨夏の甲子園を経験した松葉行人と菊地大輝の2枚のエースが残り、打線も強力。春の出場は25年ぶりとはいえ、一筋縄ではいかない相手だ。だが、だからこそ高田は燃えた。5回までは毎回安打で、2回に先制を許しながら6回以降はヒット1本。4回まで松葉に6三振を喫していた打線も、5回に目覚めて4得点。結局5対1、高田は7安打・6三振・1失点の完投だ。

 東海大甲府高・村中秀人監督も、脱帽する。
「高田君から連打は期待できません。また、とらえるなら立ち上がり。だから序盤は慎重にバントで進めたかったんですが、それがうまく機能しなかった。そうするうちに、それほど良くなかった球のキレが、中盤から後半に増してきました。甘い変化球を打とう、と指示しましたが、スライダーがキレていたんでしょうね」

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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