潔し!フェラーリ、ベッテルの負けっぷり 今宮純のF1開幕戦インプレッション

F1速報

緊張感あふれたドライバーズ・レース

15年シーズン終盤から“連勝”を飾ったニコ・ロズベルグ 【XPB Images】

 開幕戦では意外な事態が起きる。17周目、3コーナーでフェルナンド・アロンソとエステバン・グティエレスが絡み、重大事故が発生。犠牲者が出ずに済んだのはFIA新安全規定とタイヤバリアなどコース管理の賜物だ。セーフティカー導入では済まない大事故によって赤旗中断、ここで全車ピットレーンに止まり、無線制限ルールの影響なく、自由に戦略を変更できることになる。メルセデス勢は救われた。後半のロングスティントを、硬いミディアムのままノンストップでカバーする判断を下す。フェラーリは違った。スーパーソフトで飛ばして最後はソフトへ。わかりやすい異なる戦略だ。

 再開後の22周目、ライコネンのマシンから出火トラブルがあり、包囲網は破けた。1対2と苦境に立たされた首位ベッテルは35周でピットへ。ここで左フロントを外すのに約「3秒」タイムロスして5秒6かかった。これが最終盤のハミルトン追走に響く。もっと早く背後に迫って、プレッシャーをかけられたのに……。51周目、2番手ハミルトンが9コーナーでコースオフ。両者の攻防戦は続き、55周目に3番手ベッテルも15コーナーでオーバーラン。激しいサイド・バイ・サイドではないが、ドライバーズ・レースのせめぎあいが続く攻防だった。だからこそ、お互い表彰台で讃えあった。

 1位ロズベルグから9.643秒差で、ベッテルは敗れた。直近ライバルのハミルトンとは1.583秒差。赤旗中断後も攻める姿勢で立ち向かっていったフェラーリ、ベッテルの負けっぷりは潔い。最強王者だったメルセデスも防衛を強化することになるだろう。

 F1のスポーツ性を具現化する2016年が始まった。

(文=今宮純)

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