スーパーラグビー3連敗のサンウルブズ 「アンダードッグ」で終わらないために
戦略的に賢くプレーすることは欠かせない
専任コーチ不在のスクラムも苦戦している 【斉藤健仁】
ラインアウトはまだまだ改善の余地がありそうだ。レベルズ戦もキャッチすることができていても、その後のデリバリーでプレッシャーを受けてしまい、攻撃の有効な起点にはならなかった。田邉コーチも「このままだったら、ラインアウトにならないような戦いをしないといけないかもしれない」と振り返った。
田邉コーチが3試合を振り返って一番、懸念していたのは反則の多さだ。反則が多いため、それに比例して自陣でプレーする時間が増える。さらに反則するとPGや自陣奥深くでラインアウトからのモールを与えてしまう。またロングキッカーがFBリアン・フィルヨーンしかいないため、自陣からの脱出もうまくいっていない。日本代表よろしく、サンウルブズも相手よりも体が小さいため、なるべく敵陣で戦うこと、そしてボールを保持する時間を増やしつつ、戦略的に賢くプレーすることは欠かせない。
「スーパーラグビーでは振り返っている時間はない」
毎週、厳しい戦いが続くスーパーラグビー。サンウルブズはまず初勝利を狙う 【斉藤健仁】
HO堀江主将は、フランスの強豪や他のスーパーラグビーチームからのオファーもありながら、「チームがなくなってしまうかも」という話を聞き、日本ラグビーの将来を考えてサンウルブズ入りを決めた。「最初はつらいことの方が多いかもしれないが、チームを一から作っていく経験なんてそんなにないし、中高生にサンウルブズに入りたいと思ってほしい」とも語っていた。勝利こそまだないが、選手たちの奮闘ぶり、スタンドで揺れるオレンジのタオルを見て、日本代表だけでなく「サンウルブズももっと、もっと応援したい」と思ったファンや、「将来、サンウルブズでプレーしたい」と心に誓った子どももいたはずだ。
3月26日は再びシンガポールで優勝2回のブルズ(南アフリカ)と対戦、その後は南アフリカに遠征し、4月3日にキングス、9日にストーマーズ、16日にチーターズと戦い、23日にホームでジャガーズと対戦するまでノンストップだ。アウェーでの戦いが続くが、歴史的初勝利を挙げることが、きっとチームをより強くすることにつながる。