リアルスティール悲願GIへ千載一遇の好機 怪物級不在、戦わずして勝負あり?

JRA-VAN

「いい馬」だが、何かが足りない

悲願のGI制覇へ、リアルスティールに千載一遇のチャンスが巡ってきた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 リアルスティールは間違いなく「いい馬」だ。距離やコース、相手を選ばず大崩れなく走れるセンスと能力があり、曾祖母が名牝ミエスク、祖母の全兄に種牡馬として一時代を築いたキングマンボなど活躍馬多数の良血。こんな馬のオーナーになってみたいと思わせるだけの要素が備わっている。

 しかし、何かが足りない。勝利の女神を振り向かせることができずにいる。

 クラシック3冠は期待されながらも無冠。皐月賞とダービーでドゥラメンテに完敗し、菊花賞ではキタサンブラックにクビ差及ばなかった。しかし、ドゥラメンテには初対戦の共同通信杯で勝っており、キタサンブラックにも皐月賞とダービーでは先着。菊花賞トライアルで逃げ切りを許したリアファルも、本番では逆転している。ただ、クラシック戦線が本格化する皐月賞トライアル以降、リアルスティールだけが1勝も挙げられていないのだ。

ドバイ挑戦のリスクとリターン

 リアルスティールのキャリアの中で最悪の着順はダービーの4着。当時は距離の限界を感じさせたが、さらに距離が延びた菊花賞では巻き返している。ステイヤーで鳴らしたゴールドシップも、皐月賞と菊花賞を勝ちながらダービーでは5着に敗れたように、3冠戦の結果をもって中距離馬と決めつけるのは早計だろう。菊花賞の内容からも、今春は天皇賞で久々の白星とG1初制覇を狙う選択肢もあったはずだ。それでも、今回はドバイターフに挑戦する。対決する相手が世界最強マイラーのソロウになることを想定すれば、この選択はリスキーな印象がある。

 ただし、山高ければ谷深し。その逆もまた真なりで、リスクに応じてリターンも大きくなるものだ。

 もし、リアルスティールがドバイターフに勝てば、約4億円の1着賞金を手にすることができる。2着でも天皇賞優勝に迫る賞金を得られるだけに、同馬の堅実性をもってすれば経済的な合理性を見出すことは可能だ。また、世界中から求められているディープインパクト産駒であることから、破格のオファーが舞い込む可能性も十分。実際、過去にはアドマイヤムーン(ドバイデューティフリー)とユートピア(ゴドルフィンマイル)の2頭が、ドバイでの勝利をきっかけにトレードされた。オファーに応じるか否かは別にしても、挑戦するだけの価値はある。

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