ドゥラメンテ劇場、いざドバイで開演! 千秋楽パリ公演へ腕試しの絶好機会

JRA-VAN

重なって見えるトウカイテイオーの姿

ドゥラメンテ世界制覇へ、ドバイからその一歩が始まる 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 中山記念を完勝し、いよいよ世界へ飛び立つドゥラメンテだが、ここまでの歩みを振り返ると、劇的な競走生活でファンを魅了したトウカイテイオーの姿が重なって見える。

 無敗の3冠馬にして皇帝の異名を取ったシンボリルドルフの初年度産駒に当たるトウカイテイオーは、偉大な父を追うようにデビューから無傷の6連勝で皐月賞とダービーの2冠を達成。骨折により3冠は叶わなかったが、翌春の産経大阪杯で復帰すると、鞍上が手綱を持ったままの大楽勝を演じ、メジロマックイーンとの世紀の対決へ駒を進めていった。

 一方、ドゥラメンテも華麗なる家系に生まれ落ちたエリート。新馬戦でいきなり黒星を喫するなど、土つかずの連勝街道を突き進んだ訳ではないが、皐月賞とダービーで同世代のライバルたちに圧倒的な性能差を見せつけた。こちらも骨折に見舞われて3冠挑戦の機会を逸したが、中山記念で復帰したドゥラメンテは、クラシック戦線で鎬を削ったリアルスティールに付け入る隙を与えず完勝。改めて別格の存在であることを印象づけている。

 大阪杯のテイオーも皐月賞で2強と謳われていたイブキマイカグラを一蹴。ドゥラメンテもテイオーも、初めて手にした重賞タイトルが皐月賞だったうえ、古馬となり、かつてのライバル関係を久々の手合わせで清算した成長力にも共通点が見える。

結果を求められる立場で海外へ

年が明けてまだ3カ月だが、現時点でドゥラメンテは世界ランク1位の評価を得ている 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 ただ、テイオーが活躍した1990年代初頭から20年余りの歳月が流れ、競馬を取り巻く環境も大きく様変わりした。当時、日本馬にとって海外は別世界の話でしかなく、ファンもジャパンCで来日する海外の強豪馬たちに胸を躍らせたものだが、現在のJCは日本馬の独壇場となり、遠征馬が上位争いに絡むことさえめずらしい。日本と海外の差は、少なくとも国内においては完全に逆転し、海外に打って出ても、日本の一流馬は世界の一流馬として扱われるまでになった。

 ここから先のドゥラメンテはテイオーと別の道を行く。しかも、結果を求められる立場として。実際に、年が明けて3か月にも満たない時期ではあるものの、ドゥラメンテはシーマクラシックで対戦予定のポストポンドと並び世界ランキング1位の評価を受けている。

 ポストポンドは前哨戦のパフォーマンスが評価された長距離区分でのものであり、キングジョージ制覇など古馬としての実績も十分ある。メイダン競馬場で実戦を経験済みのうえ、そのまま現地で鋭意調整中と死角らしい死角が見当たらない強敵だ。それに対してドゥラメンテは、中山記念の結果による中距離区分での評価。年長世代と戦ったのも当時が初めてで、実績的には一歩譲らざるを得ない。ただ、ドゥラメンテはダービーで距離を克服済み。しかも、不滅と思われていた父キングカメハメハとディープインパクトのレコードを更新している。伸び盛りの現状もあり、勝利を期待したくなるのが人情というものだろう。

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