今年も「4番で主将」内川聖一の決意 鷹詞〜たかことば〜

田尻耕太郎

相変わらずの役者ぞろい

昨年は7年続けた打率3割が途絶え、復活を期す内川。今季も「4番・主将」で3連覇を目指す 【写真は共同】

 今年もホークスの4番打者は、内川聖一が務める。

 自主トレ期間の1月に昨季トリプルスリーを達成した柳田悠岐が、先日引退を表明した松中信彦氏に背中を押される形で「4番奪取」を宣言していたが、工藤公康監督は宮崎春季キャンプの間に内川と面談する機会を設けて、引き続き「4番内川」で戦っていく方針を本人に直に伝えた。

 今季、3年連続となるパ・リーグ制覇と日本一を目指すホークスは、さすがに役者ぞろいのチームだ。

 大スターに成長した柳田もいれば、昨季チーム最多の35発を放った松田宣浩も「まだまだ自分は伸び盛り」と元気いっぱい。長谷川勇也や中村晃といった打撃タイトル経験者もいる。昨季限りで李大浩が退団したがその穴を全く感じさせない、今シーズンも相変わらず迫力満点のラインナップとなるだろう。

耐えに耐えた2015年

 それでも、ホークス打線の「顔」は、今シーズンも内川なのだ。

 昨季は、持っている能力からすれば物足りない成績だった。打率2割8分4厘。8年ぶりに打率3割に届かなかった。
 4番という重圧以上に、左胸の「C」マークが、責任感の強い内川には重くのしかかった。

「俺はキャプテンなんだから何でもチームの中で一番じゃないといけないと、無理して気を張ってしまったところがありました」

 その重責の中、思うような打撃もできない大きなストレスも抱えた。だが、「周りに気をつかわせるような態度を取ってはいけない」と以前にホークスのキャプテンを務めた小久保裕紀・現侍ジャパン監督から助言されたこともあり、どれだけ気持ちがぐしゃぐしゃになってもとにかく1年間は耐えに耐えた。

 昨年、もし8年連続で打率3割を達成していれば、日本球界では右打者史上初の快挙だった。だが、内川はこのように振り返る。

「本音を言えば誰もやっていないところに到達したいと思いました。でも、そのためだけに野球をやっているんじゃないと思ったんです。だから落胆はしませんでした。逆にこれをいい区切りにしてやろう、と」

 そして――決意をにじませる。
「1年間やってきて、ただしんどかった、では終わらせたくない」

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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