3.11東京大会で示す仙台女子プロレスの勢い 里村明衣子「その日は東北の代表として」

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2年連続で仙台女子3.11東京大会を開催する意義について里村明衣子に聞いた 【スポーツナビ】

「センダイガールズプロレスリング 〜あの日を忘れない〜」が3月11日、東京・新宿FACEで開催される。東日本大震災から丸4年となる昨年の同日、東京での興業を開催した仙台女子。2年連続となる今年も、東京で、団体の今と東北の今を伝える興行を行うことになる。

 再び、東京での開催を決めた意義、そしてこれからの仙台女子の未来について里村明衣子に聞いた。

仙台のプロスポーツ団体として認知

昨年よりも薄れている震災への記憶を再び喚起させることが東北の団体としての役割でもある 【スポーツナビ】

――今年も3月11日に、東京での興行を開催されます。昨年は「仙台から発信する女子プロレス団体として、震災の記憶を風化させず、東北の現状を伝える」という意義がありましたが、2年連続で開催する理由はどんなところでしょうか?

 昨年よりも今年の方が(震災の)記憶が薄れていると思うんです。でも、東北の人たちにとってこの記憶というのは、一生背負っていくもの。当然、この時期になれば思い出すし、それを乗り越えてきたことを忘れてはいけない。今後も、こういう状況を乗り越えて、それ以上のものを取り戻す気合いを示して生きていこうとしているので、その姿を東京のみなさんに示すことが大事だと思っています。ですので、センダイガールズは、その日だけでも東北の代表として、覚悟をお見せしたいと思います。

――実際、先日の2月14日の大阪大会では、里村選手が「これからが本当の意味で自立できる時期」というコメントがありました。やはりその言葉には、震災を乗り越えてきたという自覚があるからでしょうか?

 それもありますね。現在は、仙台での観客動員も増えてきて、仙台のプロスポーツとして認知されてきました。元気が出てきていますし、新人選手も増えて、私自身も「ここからだぞ」という時が来たと思っています。

――仙台女子としては、宮城野区文化センターで定期的に大会を開催し、観客動員も好調だと思います。やはりそれが自信になっている?

 すごい自信になりました。5年前に震災が起き、それ以前には、プロレス全団体で年に数回しか仙台で興行が行われていませんでした。ですが、今はいろいろな団体が来る機会が増えましたし、プロレス熱が上がってきたと思います。

 地方に関しては、(観客動員は)その団体の認知度が問われると思います。ほかの団体からすると仙台は厳しいと言われますが、うちは仙台で毎回、満員になっていますので。

――東北発信の団体ということで、地元に根差した部分を強く感じる?

 はい、そうですね。

――その仙台で培った自信を、3月11日という日に東京で見せると。

 今、仙台女子は宮城で揺るぎないものになっています。それをこれからは全国に発信していきたい。今年は関東での興業も増えますし、名古屋や広島、北海道にも初進出します。また新潟で、今年もビッグマッチを行う予定です。

幸子の引退は「いい見本になった」

――2014年末にカサンドラ宮城選手、2015年には岩田美香選手、橋本千紘選手がそれぞれデビューしました。この3人がデビューしたということは、どう影響しましたか?

 この3人がすごく有望なんです。人としても選手としても。ここ数年にないぐらいの人材が入ってきて、3人とも大当たりだったので、この3人の存在は大きいですね。

 同世代ということもあって、タイミングも良かったと思います。カサンドラは、少し先輩なのですが、彼女がいい感じで独走しています。それに続いて、橋本はストロングスタイルを強調、岩田はやっぱり今まで仙台女子にいなかったような、顔が整っていて、スタイルが整っている選手。3人とも全然キャラクターがかぶっていないので、自分たちの役割を分かっていて、個性を伸ばす方法が分かっているんだと思います。

―― 一方で十文字姉妹の仙台幸子選手の寿引退もありました。この影響は?

 引退する選手としてはいいモデルになったと思います。最近になって結婚が続いていますけど、彼女ほどいい形で引退した選手はいないです。みんなに祝福されて引退し、その後はしっかり旦那さんのもとへと行き、良い家庭を築こうとしているのは、後輩たちにとっていい見本になりますし、女子プロレス界が決して何年も「3禁」のままではないんだよというのを示せたと思いますので。

 どこかで切り替えって必要だと思うんです。私が新人の時は、男性との交際が発覚しようものなら、絶対許されないと。ですが、今はそういう時代じゃないんで。ファンの何人かは幻滅するでしょうけど、でも一人の人間として、ビジネスモデルとしてはいい見本になりました。それを惜しいと思うか、一人の人間として送ってあげられるかは、私の気持ち次第でもあるので。

――それこそ15年に新人選手の土台ができ、16年最初に活躍してきた選手が引退。ここから新しい仙台女子を作る時期が来ている?

 新人の3人がすごいと思ったのは、幸子が引退した時、どこか寂しいとか、団体に穴が開くと心配することがまったくありませんでした。むしろ「幸子さんがいない分、自分たちが穴を埋めますから」と、カラッとした気持ちと、頭の切り替えをそれぞれができていて、本当に頼もしいと思いましたね。

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