「世論を味方に」異彩放った町田語録 写真で切り取るフィギュアの記憶

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 選手の数だけそれぞれの物語がある。笑顔、涙、怒り……こうした表情とともにこれまで多くの名場面が生まれてきた。後世まで脳裏に刻んでおきたいフィギュアスケートの記憶を写真で切り取る。

「町田樹 GPファイナル男子FS(2013年)」

【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 アスリートには突如、覚醒する瞬間というものがある。町田樹にとってはそれが2013-14シーズンだった。ソチ五輪の出場権を争う有力選手6人の中で「自分は第6の男」と自虐的に語っていた彼が、GPシリーズのスケートアメリカとロシア杯で連勝。日本で開催されるGPファイナル進出を果たすと同時に、五輪戦線をリードする立場に浮上した。

 この頃からにわかに注目を集め始めていたのが“町田語録”だ。そのあまりに独特な言い回しは異彩を放ち、SPのテーマであった「ティムシェル」(町田は自分の運命は自分で切り開くと解釈)という言葉は彼を表す代名詞となりつつあった。

 そんな中で迎えたGPファイナルのSPは、ミスが出て最下位スタート。取材エリアに来た彼は悔しさをかみしめつつ、口を開いた。

「人生、山あり谷ありですね。この失敗した『エデンの東』を誇りに思っています。全エネルギーを注ぎましたし、僕が掲げている『ティムシェル』という表現も、成功だけじゃなく、失敗もあって人はどう進むかだと思っているので、この失敗もある意味ティムシェルの表現だと思っています。明日も僕のすべてを注ぎたい。まだ3位は射程圏内だと思っています」

 最下位という結果にも、至って彼はポジティブだった。弱気な姿はどこにもない。
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