IDでもっと便利に新規取得

ログイン

歴史的な一歩目を刻んだサンウルブズ
「エディージャパン」と違う戦術で勝負

対戦相手は南ア国内リーグ優勝の強豪

初戦に敗れたサンウルブズ。しかし、手応えをつかんだ一戦でもあった
初戦に敗れたサンウルブズ。しかし、手応えをつかんだ一戦でもあった【斉藤健仁】

 2月27日、ついに歴史的瞬間が訪れた。


 今年から南半球のニュージーランド(NZ)、オーストラリア、南アフリカの強豪3カ国で行われていたリーグ戦、スーパーラグビーが15チームから18チームに拡大し、日本チームである“日出る国のオオカミ”サンウルブズも新たに参入し、ライオンズ(南アフリカ)との開幕戦をホームで迎えた。


「スーパーラグビーがここ(秩父宮ラグビー場)で開催されるなんて夢のようでした」とHO堀江翔太主将が振り返ったように、選手だけでなく、満員となる約2万人の大観衆がインターナショナルラグビーを堪能した。そして「(スーパーラグビーで)戦える手応えをつかんだ」、「自信になった」と選手たちが次々と口にしたように13対26で敗戦したが、サンウルブズが戦える力を証明したと一戦となった。


 相手のライオンズは、2015年のワールドカップメンバーこそいないが、南アフリカ代表キャップを持つ選手も4人(ノンキャップの代表経験者も2人)おり、昨年のスーパーラグビーは南アフリカカンファレンスで2位、全体8位の強豪。しかもライオンズの基盤となるチームは国内リーグ(カリーカップ)で12戦全勝優勝を果たしており、さらにヨハン・アッカルマンHC(ヘッドコーチ)もチームを率いて4年目と成熟したチームだった。

急造チームは「カンタベリー流」で挑戦

後半18分にチーム初トライを決めるなど、チームを引っ張った堀江主将
後半18分にチーム初トライを決めるなど、チームを引っ張った堀江主将【斉藤健仁】

 一方のサンウルブズは、昨年12月末にやっと元NZ代表HOのマーク・ハメット氏が指揮官に就任することが決まり、チームが始動したのは2月に入ってからのこと。実際に合宿ができたのは3週間弱という急造チーム。そのためサンウルブズの「礎を作る」と指導を始めたハメットHCが、まず、チームに徹底したのはこれから半年間戦う上で、欠かせないアタック戦術であり、十分に機能していた。それはパナソニックワイルドナイツが採用しているものとほぼ同じものであった。


 実は、それはある程度、予想できていた。ハメットHCは、かつてスーパーラグビーのクルセイダーズで5回優勝を経験しているロビー・ディーンズ監督(現・パナソニック監督)の下でコーチを務め、クルセイダーズのベースとなるITMカップのカンタベリーでもプレーをしていた。さらにアタックコーチを務めるのが、カンタベリーで高校から24歳までラグビーを続けていた田邉淳コーチ(パナソニック)で、また堀江主将も大学卒業後はカンタベリー・アカデミーで鍛錬を積んだ。


 つまり、サンウルブズのラグビーは「カンタベリー流」と言えよう。エディー・ジャパンが始動したときは、サントリーの選手が中心となって他のチームの選手に戦術を教えていたが、サンウルブズではパナソニックの選手が根幹をなしている。そのため試合にはHO堀江を筆頭に、PR稲垣啓太、WTB山田章仁、笹倉康誉と4人が先発したのもうなずける。

SH日和佐「短い準備期間でこれだけできるという自信に」

SH日和佐は長短のパスを使い分けて、スペースを突いた
SH日和佐は長短のパスを使い分けて、スペースを突いた【斉藤健仁】

 その戦術とは基本は、オーストラリア流の「シェイプ」ではなく、いわゆるNZ流の「ポッド」だ。順目にボールを動かし続けるのではなく、「人よりはボールが速い」という考えを軸に、FWとBKに関係なくユニットを作ってボールを左右に大きく動かす。ただ、エディー・ジャパンのようにSHを起点にFWを3人立たせる「9シェイプ」をミッドフィールドに(できれば2つ)作ることによって、ボールをあまり下げずにアタックすることもでき、さらに、そのFWの選手たちをおとり(リンケージと言う)にしたりして、ワイドに攻めることも可能だ。


 FWで前に出ながらも、ボールをワイドに動かす。そしてハーフ団が、相手のスペースや隙を突き、トライを狙う。まさしく後半18分のトライは、サンウルブズの形で取ったトライだった。攻撃のタクトを握るSH日和佐篤は「選手がいろんなチームから来ているし、いろんな考え方を吸収している。順目だけでなく、折り返しがあったりキックを蹴ったりとどのオプションで行くか(といろいろ選択肢がある)。短い準備期間でこれだけできるという自信になった」と手応えを口にした。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

スポナビDo

新着記事一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント