清武功暉が今季からまとう兄と同じ10 熊本の背番号にまつわるストーリー

井芹貴志
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クラブを象徴する番号はまだ生まれていないが……

特徴的な選手がつけてきた番号である10番。今季は清武功暉が背負う 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 ロアッソ熊本は、今年でクラブが誕生して12年目を迎える。J2リーグでの戦いは9年目と、歴史は決して浅くない。しかし、クラブを象徴する背番号として誰もが口をそろえて挙げられる数字は残念ながら、今のところ生まれていないように思う。

 というのも、いくつもの番号が、それぞれに紡がれてきた歴史を持っているからだ。代表的な数字の1つが「39」。今年からアルビレックス新潟のトップチームコーチに就任した北嶋秀朗が、2012年のシーズン途中、柏レイソルから加入した際に選んだ背番号だ。「ありがとう=サンキューという気持ちを込めて決めた」と聞けば、「なるほど」と納得できる理由があったのだが、それまで主力級の選手がこれほど大きな数字をつけるケースはまれだった。

 しかしこれ以降、いろいろなクラブで「39」をつける選手が増えた。熊本では、14年にユースからトップに昇格した嶋田慎太郎が、引退する北嶋から直々にこの背番号を受け継いでいる。さほど大きな意味を持たなかった「39」という数字がJリーグにおいて「特別な背番号」になったのは、熊本での物語がきっかけだろう。

 他にも、九州リーグからJ2まで、チームがステップアップする過程で中心的役割を担った選手がつけていた背番号のいくつか――たとえば「6」「11」「15」といった数字が、熊本ではやや特別な数字になるかもしれない。だが、時の流れとともに選手が入れ替わっていけば、少しずつ印象が塗り替えられていくのは仕方のないことである。

 ただ、冒頭「クラブを象徴する背番号はまだない」と述べたが、これまでの歴史を振り返ったとき、キャラクターの際立つ、特徴のある選手がつけてきた番号はある。それが背番号「10」だ。
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著者プロフィール

1971年生まれ。大学卒業後、タウン情報誌の編集に11年関わり、2005年にフリーランスのライターとして独立。ロアッソ熊本を発足当初から取材し、雑誌、webなどの各種専門媒体に寄稿。自らも3級審判員とJFA公認D級コーチの資格を持つ。スポーツ関連に限らず、地元新聞社のタブロイド紙やタウン誌、編集プロダクション等の依頼を受け、ミュージシャン、映画監督といったエンタメ関連ンタビュー、行政や企業、飲食店の取材等も幅広く行っている。

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