ドラフト超目玉・田中正義を動画で分析=圧巻の投球が生み出される理由とは!?

高木遊
 コンスタントに制球良く150キロ以上のストレート(最速156キロ)を投げ込む姿から、今秋のドラフト会議では「12球団が1位指名の可能性も」と報道されるほどの逸材・田中正義(創価大)。その実力は3月の侍ジャパントップチームの強化試合ではアマチュアから唯一の選出可能性もあったほどだ(右肩の張りにより辞退)。

 今回は、そんな田中の投球動画と連続写真を交えながら、田中本人と創価大で指導にあたる元バルセロナ五輪野球銅メダリストの佐藤康弘コーチに、圧巻の投球を生む秘訣を明かしてもらった。

(制作協力:花田裕次郎/ベースボール・タイムズ)

以下は田中の投球フォームの連続写真と、その写真に対する田中と佐藤コーチのコメント

投球フォーム三塁側(1)

【花田裕次郎】

田中 ぼんやりというか何も考えてないです。ミットまでそのラインを引いて、“そこら辺”に投げようと思うくらいですね。“ココ!”って一点に絞っちゃうとズレた時に、そこから外れた時にダメージがデカいので。
佐藤コーチ 立ち姿がかっこいいですよ。走ってる姿勢も跳んでいるようですしね。

投球フォーム三塁側(2)

【花田裕次郎】

田中 これを撮った時は少し力が入ってしまいましたが、足が着くまでは(特に上半身の)脱力をすることしか考えていないですね。軸はそんなに意識しないです。
佐藤コーチ (センター方向へ軸の)ねじりもここで入っていますし、いい足の上げ方をしてますね。

投球フォーム三塁側(3)

【花田裕次郎】

佐藤コーチ ここが特にいいですね。お尻からホームベースに向かっていっています。入学当初は(田中)正義もお尻ではなく肩から向かってしまっていましたが、それだと絶対に速い球は投げられませんから。あとは、軸足にも体重が乗って、しっかりマウンドに噛んでいる感じですよね。

投球フォーム三塁側(4)

【花田裕次郎】

田中 顔の右横にぼんやりとセンサーを置いている感じですね。そこに握っているボールが来たなっと思ったら、腕の振りに入る感じですね。それを意識しておかないと、ボールを持った腕と体が離れてしまいます。特に、僕は腕が長くて速い球を投げるので、それが離れるとヒジや肩に負担がかかるフォームになってしまいます。
佐藤コーチ いいと思います。よくこの段階で「ヒジを上げろ」なんて言いますが、まだこの時点で上げては投げられないですからね。

投球フォーム三塁側(5)

【花田裕次郎】

田中 投げるという意識はないです。一連の動作の中で、ボールが前にきているので、ある程度体を回せば、勝手にボールが手から離れていくという印象です。
佐藤コーチ この時点でヒジが上がってくるので、この投げ方が完璧です。こうすることで、自然に胸が張れます。グラブも外に出たり後ろに出ず、しっかり前にあるのがいいですね。ここで体の左側(グラブ側)を止めるようにしないと、右腕側が振れないですから。

投球フォーム三塁側(6)

【花田裕次郎】

佐藤コーチ (5)の場面でも言えますが、頭がもう少し一塁側にもあっていいですけどね。その方が腕を振れるはずです。ただこれは、“欲を言えば”ですね。

投球フォーム三塁側(7)

【花田裕次郎】

投球フォーム三塁側(8)

【花田裕次郎】

佐藤コーチ (6)の時より右肩の高さが少し下がっているので、(6)の高さのまま、腕だけ振れると、もっといいですね。そうするともっと自然にリリースポイントが前に出るので。そうなるといいですけど、今のままでもすごいですね。

次ページはスロー再生がある投球フォーム動画とキャッチャー視線からの投球フォーム連続写真

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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