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「ラグビーを変えた」パナソニックがV3
戦略面で上回り、東芝との激闘を制す

「最後はうちに運があったかも」

トップリーグ史上に残る激闘を制して、3連覇を達成したパナソニック
トップリーグ史上に残る激闘を制して、3連覇を達成したパナソニック【斉藤健仁】

 先のラグビーワールドカップ日本代表は両チーム合わせて10人。リーグ戦は引き分け(17対17/12月12日)。熱戦の期待感の中、スタジアムに訪れた2万4557人の観客を満足させるには十分の試合内容だった。


 1月24日、東京・秩父宮ラグビー場で、ラグビーのトップリーグの1〜8位順位決定トーナメント「リクシル杯」のファイナルが行われた。3連覇を狙うパナソニックワイルドナイツが、6年ぶり6度目の戴冠を目指した東芝ブレイブルーパスを27対26で下し、3シーズン連続4度目の優勝を成し遂げた。


 紙一重の差だった。「最後はうちに運があったかもしれない」とパナソニックのHO堀江翔太主将ははにかんだ。だが、パナソニックが戦略面で上回り、うまく得点を重ねたことが勝敗を分けたと言えよう。

FW戦で優位に立てなかった東芝の誤算

東芝は前半7分にリーチ マイケルが豪快なトライ
東芝は前半7分にリーチ マイケルが豪快なトライ【斉藤健仁】

 戦前、日本代表主将のNo.8リーチ マイケルらを擁する東芝が、自慢の強力FWを生かして、セットプレーで優位に立つと予想された。だが、「(パナソニックは)前の戦いから修正してきた」とリーチが振り返ったように、前半3分、パナソニックは相手ゴール前のモールを押し込み、ラックからFL西原忠佑が飛び込み先制トライ(7対0)。


 また、スクラムでも東芝はさほど優位に立てなかった。「パナソニックがしっかり組みましたね。がっぷり四つでは勝てない。大きく勝敗を分けた」(冨岡鉄平監督) 東芝が元日本代表右PR浅原拓真を中心に組んでくると予想していたパナソニック側は、昨年スーパーラグビーの舞台も経験した日本代表の左PR稲垣啓太を中心に組む作戦が、功を奏した。


 それでも東芝は、パナソニックのワイドに立つ攻撃に対して、ラックに人をかけずに対応。さらにボールキャリアが孤立すると、この1年間、南アフリカの年間最優秀コーチ賞の受賞歴のあるジェームズ・ストーンハウスコーチの下、チームとして落とし込んできた「チョークタックル」(相手の上半身を抱え込むタックル)でモールの停滞を狙ったり、ラックを乗り越えたりと、ターンオーバーしてチャンスをつかむ。そして7分にはリーチが豪快なランからトライ、17分にはモールからFL山本紘史が押さえて7対14と逆転に成功する。

堀江「ラグビーを変えることができた」

パナソニックSH田中はパス、キックを有効に使ってチームに勢いを与えた
パナソニックSH田中はパス、キックを有効に使ってチームに勢いを与えた【斉藤健仁】

 だがパナソニックも負けていない。堀江は回顧する。「相手の戦略にはまってボールを動かしてしまったが、ボールをキープしながら刻むように、コミュニケーションをとってラグビーを変えることができた」。相手のFWのチョークタックルが強かったこと、パナソニックの司令塔が自分で仕掛けることができるSOベリック・バーンズではなく、「リクシル杯」から出場のヘイデン・パーカーだったこともあり、大きく展開するのではなく、ブラインドサイドへの折り返しを中心にボールをキープする戦略に変える。


 そして、相手のミスや反則で敵陣に入ると、24分、SH田中史朗が相手の選手を引きつけつつ、堀江にパスし、そのまま堀江がトライ。38分にもパーカーがPGを決めて、東芝がキックとディフェンスを主体にうまく戦っていたにもかかわらず、パナソニックが17対14でリードして前半を終えることに成功した。


 後半、パナソニックは途中までうまく戦ったと言えよう。ボールキープしつつ、風上に立っていたため、田中が裏へボックスキックを使い、敵陣でプレーする時間を増やす。


 8分、スクラムの押し方を堀江中心に変えることで相手のコラプシング(スクラムを崩す反則)を誘い、PGをパーカーが決めて20対14。さらに、相手FBフランソワ・ステインの中途半端なキックを田中がキャッチすると、そのまま見事なステップでラインブレイク。田中からパスを受けた堀江がタックルを受けながらも、この試合がトップリーグラストマッチとなったCTBのJPピーターセンへパスし、そのままピーターセンが左隅に飛び込み、27対14と大きくリードする。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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