レアルとアトレティコにも補強禁止処分 バルサの教訓、FIFA制裁の影響は?
処分の取り消し請求、CASに上訴へ
最悪のケースを想定し、レアルはマルティン・ウーデゴール(中央)ら10代のタレントを立て続けに補強してきた 【写真:ロイター/アフロ】
いずれにせよ、今後両クラブが見せるリアクションははっきりしている。まずはFIFAの上訴委員会に処分の取り消しを請求し、それが棄却された場合はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴と処分の一時凍結を申請する。これは14年4月に同様の処分を受けたバルセロナがたどってきた道のりと同じである。
当時のバルセロナは前例のない処分への対応に苦労しただけでなく、自分たちの非を認めず、「理想的な育成環境を提供している自分たちは処分の対象とすべきではない」と訴えるばかりだった。その点レアル・マドリーは「違反していない」ことを主張しているだけに、無実を証明できる材料さえそろえられれば、上訴が通る可能性もあるだろう。
2クラブは既に最悪のケースを想定
少数精鋭のアトレティコも今季はトップチームの補強に余念がない。この冬にはマティアス・クラネビッテル(右)を獲得 【Getty Images】
FIFAの調査が始まった約1年前、レアル・マドリーはトップチームに加入した当時21歳のブラジル人MFルーカス・シウバに加え、当時18歳のFWマルコ・アセンシオ、同16歳のオランダ人MFミンク・ピータース、同16歳のノルウェー人MFマルティン・ウーデゴールら10代のタレントを立て続けに獲得した。ネームバリューのある即戦力の補強を重んじるフロレンティーノ・ペレス会長が突然に行ったこれらの先物買いは、近い将来に補強禁止となった場合を見越した“買いだめ”だとうわさされている。
アトレティコも今季はトップチームの補強に余念がない。ジャクソン・マルティネスやルシアーノ・ビエット、ヤニク・フェレイラ・カラスコらを大量補強した昨夏に続き、冬の移籍市場でも即戦力のアウグスト・フェルナンデス、若手有望株のマティアス・クラネビッテルを獲得。ディエゴ・シメオネの就任以降は20〜22人の少数精鋭で戦ってきた過去数シーズンとは異なり、24人の大所帯を構えるに至っている。
いずれもトップチームは十分過ぎる戦力を擁しているだけに、制裁の有無が大きく成績を左右することはないだろう。レアル・マドリーについては毎年ペレスが現場の需要を無視して選手を入れ替えてしまうだけに、むしろチームの継続性が高まるという意味で良い効果をもたらすことすら期待できる。逆に昨夏獲り損ねたダビド・デヘアなど、1月中にビッグネームの獲得があるかもしれないが。
とはいえ忘れてはならないのは、今回の制裁によってプレーする場を奪われた子供がまたしても生じてしまったことである。今後はさらにバレンシアやビジャレアルにもFIFAの手が及ぶ可能性も報じられているだけに、これ以上被害者が増えないことを祈るばかりだ。