僕が箱根でなく米国留学を選んだ理由  19歳・スピードランナーの挑戦

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米国で五輪を目指す日本人留学生

中学・高校と実績を積み重ねてきた岡田健。華やかな箱根駅伝ではなく、米国留学を選んだ理由などを聞いた 【スポーツナビ】

「小さいころからテレビで箱根駅伝を見ていて、すごい憧れを持っていました」

 箱根駅伝の熱狂冷めやらぬ1月6日、インタビューに応じた期待の19歳・岡田健は静かに語り始めた。中学時代から全国大会で活躍し、高校2年時には世界ユース選手権3000メートルで8位入賞。全国高校総体(インターハイ)、全国高校駅伝にも出場した実力の持ち主だ。しかし、「スピードを磨きたい」と箱根駅伝常連校からの勧誘を断り、猛勉強の末に米国の名門・カリフォルニア大バークレー校に現役合格。昨夏から新天地で陸上人生の新たな一歩を踏み出している。夢は、2020年の東京五輪にトラック種目で出場することだ。

 米国を拠点にする現役長距離ランナーでは、早稲田大で活躍し、現在はナイキ・オレゴン・プロジェクトで研さんを積む大迫傑が知られている。同プロジェクトには今春から高松望ムセンビ(大阪薫英女学院高)も加入予定。ただ、岡田ほどの実績を持つ選手が、次のステップとして海外の大学を選択するのは非常に珍しい。

 1500メートルを得意とするスピードランナーはなぜ、憧れの箱根駅伝を諦めてまで、米国留学を選んだのだろうか。

箱根とトラック、どちらで勝負するか

転機になったのは初の大舞台となった世界ユース選手権だった。写真は予選レースのもの 【提供:國學院久我山高校陸上競技部】

 中学1年で陸上を始めたころは、熱心に部活に打ち込んでいたわけではなかった。ただ、その後頭角を現すと駅伝の強豪校・國學院久我山高に進学する。当時の夢は大好きな箱根駅伝を走ること。しかし高校2年の時、自信を持って臨んだ世界ユース選手権で、スピードのあるアフリカ勢に大差をつけられた。「全く勝負にならなかった」とショックは大きく、そのころから少しずつ、海外を意識するようになる。2学年先輩には米国留学を志した打越雄允(※編注:1月からボイシ州立大に入学)もおり、2人で話す中で視線は次第に米国へと向かっていった。

「米国は近年、中長距離で結果を出している選手が多いし、陸上専門誌でも米国が特集されていました。本当に新しいというか、(米国の練習は)日本でやっていることとは違って、それで結果が出ているということは、スピードを極めるんだったらこっちのやり方なんだろうなと考えたんです」

 ただ、そのころには箱根駅伝の強豪校から複数の誘いを受けており、推薦の話も進んでいたという。17歳の心は揺れ動いた。ただ、東京五輪を考えれば、高校卒業後の4年間をどう過ごすかが重要になる。「好き」と「勝負できるもの」はイコールではない。「(箱根駅伝のために)長い20キロを一定のペースで走るよりは、スピードを磨いてトラックで勝負したい」と高校3年の春に留学を決断した。

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