【Krush】“新星”の活躍が予感される上半期 平本蓮、佐野天馬、KANAらに注目

長谷川亮

“激闘男”渡部太基がタイトル奪取

2016年最初の大会では渡部太基が牧平圭太を破り新王者に 【中原義史】

 2016年の“壊し初め”である「Krush.62」が17日、東京・後楽園ホールで開催された。

 超満員札止めで好調な出足となった大会のメインでは王者・牧平圭太と挑戦者・渡部太基による−67kgタイトルマッチが行われた。昨年3月に対戦するもドローとなっていた両者の再戦は今回も延長まで戦いが及び、ここで跳びヒザを当て牧平をカットし左ストレートで攻勢を作った渡部が判定勝ち。“激闘男”の異名に違わぬ戦いを今回も見せ、2011年に獲得したWPMF日本ウェルター級王座に次ぐキャリア2本目のベルトを手に入れた。

続々と開催されるタイトルマッチ

K−1甲子園でも活躍した佐野が新王者に向けアピール 【中原義史】

−53kg 昨年新設
−55kg 王者:堀尾竜司
−58kg 王者:<空位>
−60kg 王者:卜部弘嵩
−63kg 王者:<空位>
−65kg 王者:山崎秀晃
−67kg 王者:渡部太基
−70kg 王者:中島弘貴
女子    王者:朱里

 現在上記9階級で展開されているKrushは−67kg王座戦で今年の幕開けとなったが、続く2月5日の「Krush.63」(後楽園ホール)でもさらにタイトルマッチ=第2代Krush−58kg王座決定戦が行われる。前王者・武尊の返上を受け王座を争うのは、過去に武尊とも打ち合いを演じた神戸翔太と昨年実施のWILDRUSHリーグでKOを量産した小澤海斗。ともに戦闘的な両者ゆえKrushらしい戦いが予想されるが、一方で17日の「Krush.62」でも次期挑戦者を争うかの戸邊隆馬と佐野天馬による−58kg実力者対決が実現。−55kgで王座挑戦経験を持つ戸邊と、11戦10勝1敗、敗北は不戦敗によるもので実質無敗の佐野による一戦は注目を集めたが、3度のダウンを奪った佐野が判定勝利。Krush2014年の新人王(−55kg)でK−1甲子園でも活躍した佐野が、新王者誕生より一足早くその実力をアピールした。

 3月20日の「Krush.64」(後楽園ホール)でも王者・堀尾vs.挑戦者・寺戸伸近のKrush−55kgタイトルマッチが新たに決定。格闘技界内外に大きくアピールする同級のK−1王者・武尊を追うように現在7連勝と好調の堀尾は、ISKA世界バンタム級王者のレジェンド・寺戸狩りに挑む。精度を増す堀尾必殺の跳びヒザが寺戸もとらえるか、石川直生・山本優弥といった盟友たちが阻まれてきたKrush王座獲りを寺戸が果たすのか。

17歳・平本が王者へ一歩前進

−63kg王座決定トーナメント一回戦では平本らが突破 【中原義史】

 −58kg同様空位となっている−63kgでも王座を巡る戦いがスタート。「Krush.62」(17日)では−63kg王座決定トーナメント一回戦の4試合が行われ、平本蓮、泰斗、佐々木大蔵、南野卓幸が3月(「Krush.64」)の準決勝に勝ち上がり。決勝=新王者決定戦は6月に予定されるが、一回戦で最も鮮やかな印象を残したのは昨年デビューし、わずか4戦目・17歳にして木村“フィリップ”ミノルと後楽園を沸かせる熱闘を繰り広げた平本。師である梶原龍児が初代王者として保持したベルトを自らも巻かんと闘志を燃やす。

女子は新階級を設立か?

新階級設立が示唆される女子は、KANAらが新王者候補だ 【田栗かおる】

 また新たな階級の新設が示唆されているのが女子部門。現在は朱里が王者(試合ごとに体重を設定)として認定を受け3度の防衛を成功させているが、女子選手の増加を受け今後は階級の増加が検討されている。

 17日の「Krush.62」で期待された9冠王Little Tigerは台湾のキル・ビーが放つスピーディーな連打の前に敗れたが(−46kg契約)、2月5日の「Krush.63」で王座挑戦の査定試合とも言われる一戦に臨むのが23歳の新鋭KANA。まだデビュー3戦目だが、ここまで2戦2勝2KOで女子離れしたパワーを見せている。2月は韓国のジョン・ヘジンと対戦するが(−50kg契約)、このままスムーズにタイトルマッチへ進むことができるか。

 以上、上半期のKrushは2月に−58kg新王者の決定、3月に−55kgタイトルマッチ、6月に−63kg新王者の誕生というスケジュールで進む。ここに昨年新設されまだ王座戦が行われていない−53kg、そして女子新階級のタイトルマッチが行われてくるかもしれない。17歳の平本蓮、18歳の佐野天馬、そして女子の注目株KANAと、新星の活躍が予感される1年だ。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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