決勝でも成長を…V7帝京が紡ぐ伝統 岩出監督「夢を持つことがエネルギー」
東海大は切り札、タタフを投入も…
帝京大は、前半にラインアウトモールからトライを許したが、後半に奪い返した 【斉藤健仁】
そして19分、今度はお返しとばかりに帝京大FWが相手ゴール前でモールを形成。一度は崩されかけたと思ったところで、再びモールを作り前進し、HO堀越が飛び込んでトライ。残り20分で20対5として試合の流れをほぼ決めた。
東海大にとって痛かった前半2分での負傷交代
キープレイヤーのNo.8モエアキオラ(左端)の負傷交代が、東海大の戦い方に影響を及ぼした 【斉藤健仁】
東海大としては、前半2分、最初のスクラムからの攻撃でNo.8アタアタ・モエアキオラが負傷交代したことがアタック面で痛かった。「彼が起点のプレーを用意していたこともあったので、準備していたオプションが出せなかった」(木村監督)こともあり、WTB石井魁(4年)、WTB近藤英人(4年)らの高速ランナーを生かし切れなかったことは悔やまれる。ただ春は19対59で負けた相手に、10点差に迫ったことは大いに自信となろう。
「新しいチームができたら8連覇を目指す」
重圧のかかる中でチームをまとめた坂手主将 【斉藤健仁】
キャプテン、副キャプテンも先発メンバーにはいなかった。不動のFBだった森谷はケガで最後の試合に出場できなかった。FBには今年度、Aチームの試合では初先発だった矢富を抜擢(ばってき)。それでも特に4年生以外の選手たちが、力を発揮した。大学選手権の決勝という、学生にとって最も大きな舞台でも選手の成長を促す指揮官の心意気、選手起用こそが伝統を紡いでいるのかもしれない。「連覇は先輩からのバトンの積み重ねなので、1年だけ頑張ってもできない。ただ学生は夢を持つことがエネルギーを持ちますので、夢はしっかり持たせていきたい。また新しいチームができたら8連覇目指してやっていきたい」(岩出監督)
岩出監督は、いみじくも優勝インタビューで「ホッとしています。最も厳しいゲームでした。過去6回の優勝とは違った充実感を感じています」と率直な感想を述べた。チームは生き物である。7連覇を達成した帝京大ラグビー部のクラブ文化は芯としてあるものの、岩出監督にとっては、毎年が違うチームであり、そのチームとともに一年、一年を大事にしてきたからこその偉業達成であろう。