リオ五輪最終予選に臨む23名を一挙紹介 遠く中東の地で戦う“若きサムライたち”

川端暁彦

U−23日本代表は1月13日、リオ五輪アジア最終予選の初戦、北朝鮮戦に臨む(写真は2015年11月の湘南との練習試合のもの) 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 リオデジャネイロ五輪男子サッカー競技のアジア最終予選を兼ねるAFC・U−23選手権の戦いがいよいよ1月12日からカタールで幕を開ける(日本の初戦は13日の北朝鮮戦)。AFC・U−19選手権において4大会連続ベスト8で終わるなどアジアを勝ち抜けなくなってきている近年の流れを打ち砕くべく、手倉森誠監督は欧州組の2名を含む23名の選手をチョイスした。

「派手に勝とうとは僕も選手も思っていない。1−0でいい」と語る指揮官が選んだのは、攻守にハードワークできる選手たち。ここでは、その「日本サッカーの未来を担う」(同監督)23名を一挙に紹介したい。1996年のアトランタ五輪から5大会にわたる連続出場を継続させるべく、遠く中東の地で戦う“若きサムライたち”である。

ゴールキーパー3名

この世代でJ1での経験が最も豊富な守護神・櫛引政敏 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

1 櫛引政敏(鹿島アントラーズ)
「J1経験が豊富な守護神」


J1での経験が最も豊富な青森県青森市出身の守護神。昨季所属していた清水では途中から定位置を喪失して試合勘に不安を残すが、手倉森監督は「出ていない割りにパフォーマンスは落ちていない」と楽観的だ。期待されるのは青森山田高の主軸として柴崎岳らと準優勝を果たした第88回高校サッカー選手権で見せたようなPK戦での勝負強さか。

22 杉本大地(京都サンガF.C.)
「ダイナミックなセービングが売り」


久保裕也、原川力とともに“京都U−18黄金世代”の一員としてメンバー入りを果たした。中学時代は磐田の下部組織に所属していたが、昇格を逃して京都に来た過去を持つ。ダイナミックなセービングに加えて、PK戦での勝負強さも光る。第2GKとなりそうだが、チームを盛り立てることもいとわない。静岡県浜松市出身。

23 牲川歩見(サガン鳥栖)
「195センチ、90キロの体躯」


中村航輔(福岡)の負傷に伴い、急きょメンバー入りとなったが、手倉森監督は「(2014年9月の)仁川アジア大会のメンバーでもあるし、不安はない」と断言。195センチ、90キロという体躯(たいく)は、それだけで相手FWに大きな威圧感を与えるのに十分。昨季まで磐田ではまったく出場機会がないが、J−22選抜で経験を積み上げた。静岡県浜松市出身。

ディフェンダー8名

最終ラインでコンビを組む岩波拓也(中央)と植田直通(5) 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

2 松原健(アルビレックス新潟)
「正確なキックを持つ右サイドバック」


09年のU−17ワールドカップをはじめとして豊富な国際経験を持つ右サイドバック。大分県宇佐市の出身で、大分の下部組織上がりでプロとなり、14年から新潟へ移籍。正確な右足のキックを買われてアギーレ監督時代のA代表に招集された経験も。手倉森監督の信頼も厚いが、故障明けのためにコンディションに一抹の不安を残す。

4 岩波拓也(ヴィッセル神戸)
「日本待望の大型センターバック」


日本待望の大型センターバックとして将来を嘱望されてきたタレントは、U−23代表守備陣の要として大会に臨む。186センチの高さに加え、右足から繰り出す正確なロングパスが武器。敏しょう性に欠けるため、本人も「自信がなかった」と言う1対1の対応力向上に昨年は意欲的に取り組んでおり、五輪最終予選はその成果を見せるときだ。兵庫県神戸市出身。

5 植田直通(鹿島アントラーズ)
「長身で跳躍力と速さも備えるストッパー」


熊本県宇土市出身のストッパーは、186センチの身長に加えて跳躍力と速さも備え、元テコンドー選手らしい旺盛な闘争心も光る。昨季途中から鹿島での出場機会を大幅に減らしたが、そのマインドとパワーはアジアを勝ち抜く上で不可欠だろう。岩波とのコンビはU−16日本代表時代からで、良き相棒であると同時に良きライバルでもある。

6 山中亮輔(柏レイソル)
「正確な左足のキックと縦への突破を誇る左サイドバック」


千葉県柏市出身で、柏の下部組織で育った生え抜きの左サイドバック。14年は千葉に期限付き移籍して経験を積んだ。プレースタイルは超攻撃派で、正確な左足のキックと縦への突破からチャンスに絡む。半面、守勢に回ると弱さが出ることも。野津田岳人の負傷離脱で、左のプレースキッカーとしても重要性が増した。

12 室屋成(明治大)
「唯一の大学生プレーヤー」


唯一の大学生プレーヤーとなった能力の高いサイドバック。左右両サイドを自在にこなし、果敢なオーバーラップから得点に絡む。1対1の守備も粘り強く、U−17時代から国際経験も積んできた計算できる選手としてのメンバー入りだ。櫛引とは青森山田高の先輩後輩で、南野とは小学校時代のチームメートである。大阪府泉南郡熊取町出身。

13 奈良竜樹(川崎フロンターレ)
「雪国仕込みのエアバトルの強さに定評」


網走に近い北海道の北東部、北見市の出身。雪国出身らしい足腰の強さを持ち、1対1でのエアバトルの強さに定評を持つ。またよく声を出して味方を鼓舞するアクティブなキャラクターも魅力だ。札幌からFC東京へ期限付き移籍していた昨季は新しいクラブで出場機会を得られずに苦しんでおり、試合勘の不足は大会への懸念材料か。

15 亀川諒史(アビスパ福岡)
「福岡のJ1昇格の原動力」


帝京第三高時代は無名選手で、卒業したらサッカーから離れて料理人になろうとしていた過去を持つ。湘南からスカウトされて“驚きのプロ入り”を果たすと急成長。昨季は福岡の一員としてタフなプレーで攻守に活躍を見せて、J1昇格の原動力になり、この代表でも左サイドバックのレギュラー格にまで台頭した。大阪府箕面市出身。

17 三竿健斗(東京ヴェルディ)
「サプライズ抜てきされた高卒ルーキーの大型ボランチ」


東京都武蔵野市出身の高卒ルーキーがサプライズ抜てきとなった。遠藤航のセンターバック起用も選択肢に入れる中で、「高さのあるボランチがいない」(手倉森監督)ことを受けての任用である。本人も自分の特長を「相手の攻撃をつぶすところ」と語る通り、守備面で強さを見せる大型ボランチだ。スペイン代表MFセルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)があこがれ。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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