勢い取り戻した新生K−1と立ち技界 武尊らRIZIN出場で構図に変化起こるか
K−1を見て育った選手が新生K−1を盛り上げる
勢いを取り戻しつつある新生K−1。その中でも軽量級の武尊らがけん引する 【中原義史】
昨年11月の第1回大会では−65kgの王座決定トーナメントを行い、並み居る日本人強豪を退けゲーオ・ウィラサクレック(当時はフェアテックス)が優勝。今年は1月大会で−60kg、4月大会で−55kg、7月大会で−70kgと他階級の王座決定トーナメントを実施し、それぞれ卜部功也(−60kg)、武尊(−55kg)、マラット・グレゴリアン(−70kg)の各王者が誕生した。
新生K−1で中心となっているのはかつてのK−1を見て育った世代。世界的にも「K−1」の名は知れ渡っており、参戦してくる選手たちは皆K−1への思いを熱っぽく口にする。憧れのK−1へ立てることで選手たちのモチベーションは一様に高く、それがリングでの熱戦に繋がっている。やはり精神論にとどまらず、思いや意気込みは戦いの熱へと繋がってくる。
軽量級のイメージを変えようとする武尊
試合序盤での被弾も見られる武尊だが、相手がこれに感触を得て打ち合いを挑むと、より大きな威力と回転力で最終的には飲み込んでしまう。本能的に戦っていると語り強打のイメージが強い武尊だが、クレバーな面を持ち合わせ、熱くなっての打ち合いのさなかでも前蹴り、ヒザといったボディへの攻めを織り交ぜ、攻撃を散らすのを忘れない。空手出身であるため、全身を使った戦い・攻撃が体に染みついているのだと本人はいう。
“怪物”天心との直接対決はあるか
RISEの“怪物”那須川天心のRIZIN参戦とはならなかったが、来年以降の動きが気になるところ 【スポーツナビ】
同時代に登場した同階級2人の対戦が、中立の立場にあるRIZINで年末実現なるかと期待されたが、那須川の出場はなく、武尊は中国の新鋭ヤン・ミンとの対戦が決定(31日)。突出した存在となった2人の直接対決が見られるか、あるいはそれぞれ独自の道を往くのか、来年の注目となる。
HIROYAらタレント充実の65kg級
HIROYAらタレント充実の65kg級。RIZINがあることで、来年K−1とSBの交流がある可能性も 【花田裕次郎】
2016年に復活を期するHIROYAはRIZINで西浦“ウィッキー”聡生と対戦(29日)。2010年大晦日にK−1ルールへ初挑戦したウィッキーは、時のK−1王者(63kg級)大和哲也と対戦しドローと健闘。その後もシュートボクシングで試合を行い、立ち技への適応を上げている。来年3月にK−1での−65kg日本代表決定トーナメントが控えるHIROYAとしては、変則的な豪腕ウィッキーを攻略し弾みをつけたいところだ。
65kgは現在5階級が設定されるK−1において日本人のタレントが最も充実する階級。来年3月に行われるトーナメントにおいても、すでに木村“フィリップ”ミノル、久保優太、左右田康臣、野杁正明、HIROYA、山崎秀晃の出場が決まり、ここへさらに2選手が加わる。魔裟斗、小比類巻貴之、武田幸三、山本“KID”徳郁、須藤元気とやはりタレントが揃っていたかつてのK−1 MAXを思わせるところもあり、熾烈な潰し合いが予想される。
他にも65kgにはシュートボクシングに鈴木博昭、ザカリア・ゾウガリーといった強者がおり、現在は交流のないK−1とシュートボクシングだが、年末同じ舞台に立つことから、来年RIZINを通じた対戦・交流にも期待を持たせる。PRIDE復活たるRIZINだが、立ち技界の構造にも変化を及ぼす影響力を有している。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ