【新日本プロレス】石井の持つベルトに挑戦する柴田勝頼 「熱いだけではダメ、魂と体でぶつかり合う」

スポーツナビ

1.4東京ドームで石井智宏が持つNEVERのベルトに挑戦する柴田勝頼に心境を聞いた 【横田修平】

 新日本プロレス新春恒例のビッグイベント「WRESTLE KINGDOM 10 in 東京ドーム」が1月4日に開催される。同大会ではシングル、タッグ合わせて8つのタイトルマッチが組まれているが、最も歴史が新しいベルトであるNEVER無差別級王座では、王者・石井智宏に柴田勝頼が挑戦する。

 2005年に新日本プロレスを離れた柴田。他団体や総合格闘技の経験を経てから、12年8月に「新日本にケンカを売りに来ました」と宣言し、再び新日本のマットに上がった。そこからシングルのベルト戦線に関わることなく戦ってきたが、今回、初めてNEVERのベルトに挑戦することになった。

 その柴田に東京ドーム大会に向けての意気込み、ベルト挑戦への真意などを聞いてみた。

ベルト戦線は意識せず

まさかNEVERのベルトを懸けた戦いになるとは思っていなかったと話す柴田 【横田修平】

――1.4東京ドーム大会で、石井選手が持つNEVER王座のベルトに挑戦することが決まりましたが、現在の心境は?

 石井から逆指名されたって事でいいんですよね? これは俺がどうこう言ったことではないですから。俺はNEVERの“ネ”の字も出していないですから。

――リーグ戦の間も、石井選手がNEVER王者であるということは意識していなかった?

 特になかった。タッグリーグ中はタッグリーグに集中していて、(後藤洋央紀との)俺らのタッグは名古屋(12.6 愛知県体育館大会)で終わったので、そういう感じしかなかったですけど。

――ベルト戦線はあまり意識していない?

 ベルトに挑戦するというのは、自分の力だけではどうすることもできないのは分かっているので。虎視眈々(こしたんたん)とタイミングが来たらと思っていたけど、まさかNEVERになるとは思っていなかったです。

天龍引退興行で感じた石井への違和感

天龍引退興行の時に感じた石井への“もやもや”が仙台での行動につながったと話す 【横田修平】

――なるほど。特にNEVERのベルトに興味はなかったと?

 NEVERの(ベルトの)歴史がまったく分かっていないし、思い入れもないです。

――つまり対戦相手が石井選手ということのみを意識している?

 NEVERのベルトが懸っていようがいまいが、関係ないです。別に懸っていなくても、やることは一緒ですから。
 ただ、俺が仙台で石井の腹の上にベルトを逆向きに置いた理由は、天龍さんの引退興行(11月15日 両国国技館)の試合を見ていて、(石井の戦いが)新日本であれだけ確立されているのに、他団体の選手とやっている時に、石井自身が弱く見えた瞬間があったんですよ。それで「おいおい、そんな姿は見たくねぇよ」と。「あなたチャンピオンでしょ?」と。そんな意味合いでした。なので、他とやる時こそ、叩き潰すプロレスをして欲しかったなと、会場で見ていて思いました。

――天龍さんの引退興行で感じた石井選手の弱さに反感を覚えたと?

 弱さとはちょっと違うかもしれませんね。石井とは試合でやり合って、これだけ響くものがあるので、他(団体の選手)とやった時に、なんとも言えないモヤモヤした気持ちになっただけで。
 敵なんですけど、(新日本の)外に出た時は、もっと行けよという気持ちがありました。複雑な思いなのですが、仲間ではなくて敵なんですけど、「俺らとやっている時は、もっとやるじゃん」と、不思議な気持ちですね。

――それは相手としてリスペクトしているからこその感情?

 そうですね。同じリングで戦っているから分かる、やっている相手だけが分かるものですかね。言葉なんか交わしたことはないんですけど、ぶつかり合った時にそういうものを感じていて。戦いの中で会話しているような、言葉ではなく感じるものがないわけじゃないので。特に石井には。

――「特に石井選手」ということですが、新日本の中で一番感じる選手ということですか?

 一番というわけではないけど、感じないわけではない相手という感じです。

シングルで戦えることが救い

ベルトに対しての思いよりも、シングルで戦えることに楽しみを感じている 【横田修平】

――そのような石井選手に対する感情があり、タッグリーグのシリーズの間にフォールを2度奪ったと?

 今はそのぐらいしかないですね。ベルトがどうこうとか分かりませんが、やることは一緒です。ただ、久々のシングルは楽しみです。邪魔が入らないので。

――2015年の柴田選手の戦いを振り返ると、石井選手の前には、内藤選手、桜庭選手とも抗争があり、シングルレスラーとして争った部分もあったと思います。

 G1が濃かったから。もちろん毎年濃いのですが、15年も濃かったなと。
 そこで生まれるもの、飯伏(幸太)戦とか、面白いと思えるプロレスもあったし。普段はそういうことがない方がほとんどだとは思うのですが、G1が終わった時、次のステージは何かと思っていたんですけど、なかなか次に行けなくて。そこでもがいて、もがいて、今回は与えられたシングル。それが救いかなと思っています。タッグリーグの優勝を逃しているので。

――柴田選手が求めているのは、G1のようなシングルの熱い戦いだと?

 とりあえず、「サシで勝負しろ」と言われたので、邪魔をされたくない。

「それ以外の試合とも戦う」

――新日本のリングに戻ってきて、以前の新日本と変わったと感じている?

 どうなんですかね? 俺が感じることはたくさんありすぎて、言っても伝わらないし、伝えるのは難しいです。
 それは観ているファンも変わっていますし、昔がいいとか、昔とここが変わったというのは言っても仕方がないので。いかにその中で、自分でいられるかどうかが重要だと感じたのが、この3年間で気づいたことですね。いかに、この枠の中で自分でいることができるか。

――今は、ほかに合わせるというより、いかに自分らしさを見せられるかだと?

 そうとは言い切れないですけど、そこは勝負で、難しいですよね。けれど、俺はまだまだ終わっちゃいないよ。そういう意味で、初心に返りたいなと。

――それでは最後になりますが、東京ドーム大会への意気込みをお願いします。

 一戦一戦、ひとつひとつ、目の前の試合に集中していく。その先はそれが終わらないと分かりません。
 ただ熱い試合をするだけじゃダメだと思うし、そういう気持ちや魂を体でぶつけ合いたい。今回、それをぶつけるのに格好の相手だと思っています。それに自分達の試合のそれ以外の試合とも戦いになってくるわけなので、意識を高くしてそれらを上回る試合をしたいと思います。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
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