高給でモテる?ボートレーサーという職業 若手女子選手にその内情を聞いてみた

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ボートレースを舞台にした小説

「ボートレーサー」という職業、その実情を若手女子レーサーに聞いた 【写真提供:一般財団法人 日本モーターボート競走会】

 競馬、競輪などいわゆる公営競技が好きな僕としては、ビッグレースも目白押しのこの時期、ちょっと気になる本を見つけた。11月21日に刊行された『ボート・ミーツ・ガール』(PHP研究所)。ボートレースの世界を舞台に、若手女子ボートレーサーの成長を描いた青春小説である。

 登場人物は実在の選手をモデルにしており、若手女子レーサーの苦悩、葛藤、その先に見える歓喜、そしてボートにかける情熱が、リアルなレース描写とともに飛び込んでくる。思わず引き込まれてしまい、手に取ったその日のうちに読了してしまったのだが、読み終えた後にはボートレーサーがより身近な存在に思えてきた。

 と言って、実のところ競馬、競輪ほどボートレースには詳しくないし、日々チェックしているわけでもない。実家に帰省した際、たまに父親といっしょに三国ボートレース場に行く程度だ。だからこそ、ボートレースという世界、いや、ボートレーサーという職業についてもっと知りたくなった。そこで今回、『ボート・ミーツ・ガール』の登場人物のモデルになった若手女子レーサーにインタビュー。東京支部がイチオシする美女レーサーでもある、富樫麗加選手、米井里実選手に「実際のところ、ボートレーサーってどう?」とリアルな内情を聞いてみた。

東京支部が誇る若手美女レーサー

富樫麗加選手(左)、米井里実選手 【写真提供:一般財団法人 日本モーターボート競走会】

「結婚相手にはいいと思いますよ。同じ女子目線から見ても、ボートレーサーは収入もいいですし、結婚相手として最適だと思いますね。それに、ほとんど家にいないですから(笑)」

 そう答えてくれたのは富樫選手。いきなり何の話かというと、今年夏ごろにボートレーサーと美人タレントの結婚が相次いだ話を振ってみたところ、こんな答えが返ってきたというわけだ。まぁ、その話はあとで詳しく展開するとして、まずは基本的なところからおさらいしよう。

 現在、現役のボートレーサーはおよそ1600名いて、そのうち約200名が女子レーサー。圧倒的に男子選手が多いわけだが、そんな男たちに混じって女子選手も同じレースで競い合う。そう、ボートレースとは男子と女子がいっしょに戦う、世界的に見ても珍しいプロスポーツなのだ(もちろん男女別のレースもある)。

 そんな“男社会”に飛び込んだ2人。どのような経緯でボートレーサーを志したのだろうか?

 まず、キレイ系の富樫選手は、小学校からずっと女子高育ちで、名門お嬢様学校として知られる白百合女子大学を卒業。でも、そうした“お嬢様”と呼ばれる人生をどこかで変えたい!と、家族の反対を押し切ってボートレースの門を叩いた異色経歴の持ち主だ。そのあたりの詳細は姉妹サイト『スポーツナビDo』でも昨年インタビューしていますので、そちらを参考に。

 一方、カワイイ系の米井選手は、前述した『ボート・ミーツ・ガール』の主人公・赤間小夏のモデルなんだそうだ。なるほど、そのほんわかとした雰囲気が、小説の中の小夏を思わせる。米井選手いわく「私がモデルになっていると知らずに読んでも、私のことを知っている人は『小夏は米井がモデルだ』と絶対に分かってしまう(笑)」のだとか。

 そんな小動物的な米井選手は見かけによらず……と言っては大変失礼だけど、幼稚園から男子に混じって野球を始め、小・中・高とソフトボールで活躍。中学時代にはソフトボールの都選抜にも選ばれセンターで全国大会準Vに貢献したスポーツウーマンだ。だが、体が小さかったため「大学生になったら通用しないだろう」と思い、高校卒業後もソフトを続けることを断念。そんな時、母の勧めで試乗したボートに魅了され、プロレーサーになることを決意した。

養成学校の入学倍率はなんと40倍!

「結果がすべての世界というところにやりがいを感じる」と富樫選手 【写真提供:一般財団法人 日本モーターボート競走会】

 と、このように2人ともレーサーを志すに至った背景はバラバラ。共通するとすれば、当然だがボート未経験で、レーサーになりたいと思った時期は10代後半だったことだろう。それでもプロになれる、という点は他のプロスポーツにはない魅力と言えるかもしれない。

 と言って、誰でも簡単にプロになれるわけではない。

 ボートレーサーになるためには、全寮制の養成機関である「やまと学校」に入学し、そこで1年間訓練を受けるわけだが、その入学倍率はなんと40倍! 一流企業よりも狭き門と言えるかもしれない。そして、入学後もツラく厳しい訓練が待っていることは、富樫選手、米井選手から学校時代の楽しい思い出がひと言も出てこなかったことから、だいたい想像がつきます。

「とにかく減量がきつかったですね。49キロをオーバーしたらボートに乗せてもらえず、水面の周りをずっとランニングですから、減量に必死でした」(富樫選手)

「私は成績が悪かったので、特別練習とか強化訓練が多くて、悔しいのと情けないのとで泣きながら練習したのをよく覚えています」(米井選手)

 そうした訓練や減量を乗り越え、2人ともやまと学校を無事卒業。2013年5月にデビューしてから2年半が経った。実際に飛び込んだボートレースの世界は、彼女たちの目にどのように映り、どのような印象を心に刻んでいるのだろうか。

「結果がすべての世界で、努力しても結果を出さないとそれは努力のうちに入らない。そういった結果・数字がすべてなので、とてもやりがいがあります。それに男子と同じ舞台で戦うスポーツってなかなかないと思います。体の小ささや軽さといった女子の特性を生かして男子に勝てるところが面白いところですね」(富樫選手)

「小さいころは男子と一緒に野球をしていたんですが、やっぱり年齢が上がるにつれてだんだんと力の差を実感しました。でも、ボートだったら女子が男子に勝つこともできる。それがすごいと思いますし、楽しいところですね」

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