下位に沈むフランクフルト、深まる苦悩 地元エディターは長谷部の働きを評価
国際経験をチームにもたらすことができる長谷部
一定の評価を得ている長谷部(左)だが、審判への抗議で戻りが遅れることは問題点として指摘されている 【Getty Images】
「それなのに、今年はそれがない。フェーには、すでに困難なタスクとなっている。自分の職の心配をするのも、もうすぐのことだろう。もし、何も変化が起こらなければね」
では、長谷部はどうなのだろうか。チームは連敗しているものの、コラディーノは長谷部のサイドでのコンスタントに示す働きぶりを評価している。31歳の長谷部はマイアー、ネルソン・バルデスに次いでチームで3番目に年長の選手であり、国際経験をフランクフルトにもたらすことができる存在だ。
「アイントラハトが上昇するとしたら、長谷部に頼るしかない。中盤であっても、右SBのポジションであろうともね」。クリーガーは、現在の戦術に納得していないのだ。「もし長谷部が背番号6(守備的MF)のポジションでプレーしていたら、もっと良いプレーをしていただろう。SBとしては、本人にもやりづらさがあったはずだ」
不慣れなポジションであろうとも、長谷部はフランクフルトにとって鍵となる選手の1人だが、問題点もあるという。「長谷部は前に出ることが多かった」と、クリーガーは話す。「残念ながら、不平を言うこともある。審判と話し合っていて、後ろに戻るのを怠ることがあるんだ」とメンデルも同調する。
「チームに不利益な判定が続くと、いつも長谷部は審判のところに行って話をするんだよ」
だが、状況の好転がこのベテランだけに懸かっているわけではない。「長谷部は最終ラインに必要な落ち着きと安定性をもたらすことはできない。でもそれはおそらく、度重なるポジションの変更のためなんだ」とメンデルはおもんばかる。「おそらく、長谷部は右SBでのプレーが中心となるだろうね」。長谷部とチームの苦悩は、まだ続くかもしれない。
ウィンターブレークで求められる変化
アイントラハトの空気は、予断を許さないものになっている 【Getty Images】
クラブのマネジャーを務めるブルーノ・ヒュブナーも、「われわれはリセットボタンを押す」と周囲を説得している。「新しい血を加える必要がある。新しい競争を生み出すんだ」。クラブは夏の失敗を取り返そうとしているし、シーズン後半戦に残留のために必要な勝ち点をかき集められるよう試みている。果たしてそれが、長谷部の負担を和らげ、ひいてはチームの屋台骨を引き締めるものなのか、それともストライカーという即効性を狙うのか、まだはっきり見えてはこない。
揺らいでいるのは、ピッチ上だけではない。フェーの座る椅子は、ウィンターブレーク明けまで持つのだろうか。気持ちの見えない戦いぶりが続いた後で、その座はさらに不安定になっている。
「『パパがすべて守ってくれる』だなんて期待を、われわれができるはずもない」。そう言って、自分と選手たちをたきつける。「私は犬のように苦しみに耐えている。今のところ、楽しみなんて私にはないし、楽しみを与えることもできない。楽しみのかけらを与えることもできない。そんなことをしていたら、降格した自分たちを笑うことになってしまうからね」
アイントラハトの空気は、予断を許さないものだ。ダルムシュタットとのダービーでは、怒りが渦巻いていた。フランクフルトのファンはクラブの旗を燃やし、発煙筒や花火に火がつけられた。その雰囲気は「落胆」などという生易しい言葉では言い表せないものだった。フランクフルトの気高き鷲たちは、その翼にプロフェッショナリズムを乗せて、反応を示さなければならない。今、すぐに。
そのために、フェーのもとで選手たちは、小さなグラウンドで汗を流し続ける。煌々と照るライトの下で、長々と。
(翻訳:杉山孝)