【UFC】アルド王座陥落 マクレガーが13秒殺 次戦はエドガー? 再戦? ライト級転向?

長谷川亮

注目のタイトルマッチは史上最短決着に

13日に行われたフェザー級タイトルマッチでは、“絶対王者”アルドを13秒KOで仕留めた新王者のマクレガー 【Getty Images】

 日本時間12月11日〜13日の3日間、米国・ラスベガスにおいてUFCの3連戦が行われた。最終日となる13日にはMGMグランド・ガーデン・アリーナにおいて、今年最大のビッグマッチとも言われる「UFC194」が開催。フェザー級とミドル級、2階級のタイトルマッチが実施された。

 フェザー級では正規王者で“絶対王者”とも称されるジョゼ・アルドと暫定王者のコナー・マクレガーが王座統一戦で対戦。当初7月(「UFC189」)に予定されたこの試合だが、アルドがあばらを負傷して欠場となり、マクレガーはチャンド・メンデスとの対戦で勝利し暫定王者に。テイクダウンを得意とし、相性が悪いと見られたメンデス戦をクリアし、満を持しての王座統一戦となった。

 メンデス戦でテイクダウンを奪われ長くグラウンドで抑え込まれたことからグラウンドでの展開に難ありとも見られたマクレガーだが、試合はそうした懸念に全く触れる間もなく決する。

 重心を低くして構えるマクレガーにアルドは右ストレートから左フックを繋いで切り込むが、サウスポーで長いリーチを持つマクレガーはバックステップしてアルドの右ストレートを殺しながら左フック。両者ほぼ同タイミングで繰り出した左フックはしかしマクレガーが一瞬早くとらえており、アルドは打ち抜かれてダウン。マクレガーが鉄槌(てっつい)を2発追撃したところでレフェリーが試合を止め、決着タイムはわずか13秒。UFCタイトルマッチにおける最短記録で、王座制定以来7度の防衛を成し遂げ長期政権を築いていたアルドを遂に陥落させた。

エドガーはメンデス破り5連勝

 また、前日12日に同じくラスベガスのホテル・コスモポリタンで行われた「ジ・アルティメットファイター:フィナーレ」メインイベントでは、同じくフェザー級のランキング2位フランク・エドガーと同3位のチャド・メンデスが対戦。

 互いに卓越したレスリング技術を持つ両者は混戦になるとも予想されたが、試合は序盤の探り合いに見られた打撃戦のさなか、エドガーが右ストレートから返しの左フックをクリーンヒット。これでメンデスをマットに沈め、インパクト十分な勝利を収めた(1R2分28秒KO)。

 このKOにより好調エドガーは5連勝を記録。13年2月にアルドの持つ王座へ挑み判定負けを喫して以来敗れておらず、5勝のうち3つがKOあるいは一本による完全決着。エドガー本人も試合後にタイトルマッチを要求したが、マクレガーとアルドのダイレクトリマッチ(即再戦)が組まれるか、あるいはエドガーが先か、それとも減量苦が伝えられるマクレガーのライト級挑戦が行われるのか、今後の動向が注目される。

川尻も米初上陸を白星で飾る

 同大会「ジ・アルティメットファイター:フィナーレ」メインカードには日本の川尻達也(フェザー級)が登場。当初対戦を予定したミアサド・ベクティックから16勝1敗のジェイソン・ナイトに相手が変わった川尻だが、これを6度のテイクダウンとグラウンドで実に13分14秒という上を取ってのコントロールで圧倒。

 得意の「川ちゃん固め」(肩固め)での一本こそならなかったがジャッジ3者が30−27を付け、シンガポール→アブダビ→ベルリンと経て4戦目でやっとの上陸となったファイト・キャピタル(首都)ラスベガスで勝利を果たし、これでUFC通算成績を3勝1敗、2連勝とした。

ミドル級でも王者交代

ミドル級タイトルマッチでもロックホールドがワイドマンを破り、新王者となった 【Getty Images】

 マクレガーによる衝撃的な王座統一劇で幕を下ろした「UFC194」では、もう1つの王座交代劇も見られた。

 ミドル級王者クリス・ワイドマンにルーク・ロックホールドが挑んだ一戦は、3R終盤にレフェリーストップでもおかしくないほどマウントからのパウンドで攻め立てたロックホールドが、4Rにもやはりパウンドで猛攻し、レフェリーがようやく試合をストップ(3分12秒)。“絶対王者”と呼ばれたアンデウソン・シウバを破って王座を奪い、リョート・マチダ、ビクトー・ベウフォートと元王者を相手に防衛を重ねたワイドマンからベルトを奪った。

 なお、ラスベガス3連戦の初日となった「UFC Fight Night 80」(ホテル・コスモポリタン)では19歳、キャリア9カ月にしてUFCと契約を果たしたセージ・ノースカット(ライト級)がUFC第2戦を行い、2Rにギロチンで一本勝ち。メインイベントにはこちらもスター候補と目される女子ストロー級のペイジ・ヴァンサントが登場したが、ローズ・ナマユナスに5Rチョークで敗れ、期待に結果が追いつかない形となった。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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