株式上場などで追い風のフェラーリ 黄金期再来へ必要なカギは?
ニューヨーク証券取引所へ上場
2014年にフェラーリ会長に就任したマルキオンネ氏 【Getty Images】
そんなフェラーリのF1活動を財務的に後押しするニュースが先日あった。フェラーリのニューヨーク証券取引所への上場(10月21日)だ。1969年にフィアットグループの傘下に入って以来、長くフィアットグループ内の非上場企業だったが、プレミア市場での圧倒的な人気と高い利益率から上場しさらなる資金調達を図ることになった。結果、フェラーリについた売り出し価格は52ドル。証券コードは『RACE」』レースイメージの強いフェラーリらしい証券コードの人気もあったのか、初値は60ドルをつけた。
ちなみに、この上場でフェラーリについた価値(株価総額)は約1兆2000億円。これがどれほどの価値かを比較すると、現在販売絶好調のマツダが約1兆5000億円、三菱自動車が約1兆600億円、ジャンルは違うがいま話題の東芝が約1兆2000億円ほど。年間1万台に満たない販売台数の自動車メーカーが、年間70万台、100万台規模の自動車メーカーや世界的電機メーカーと株式市場における企業価値は同じということだ。
チームに必要な最後のピース
こうなってくると、再びフェラーリの黄金期はやってくるのかが気になるところ。
現在、フェラーリが手にした鍵は、最高のマネージメント体制、最高のドライバー、潤沢な資金だ。1996年当時のフェラーリが手にしていたのは、これらに加えてロリー・バーンという最高のデザイナーがいた。現在のフェラーリには2013年にロータスから引き抜いたジェームス・アリソンがいるが、アリソンの立場はデザイナーというより、ロス・ブラウンが担ったテクニカル・ディレクターの役割だ。まだ最後のキーは手にしていないといえる。もし、フェラーリが最後のキーとなるデザイナーを手にしたら、本当に再び最強の名前を欲しいままにする可能性は高い。15年シーズン最終戦もそうだが、この先のフェラーリに注目していきたい。