岩渕GMの心を動かした試合前の光景 「19年にはもっとすごいことを」
南アフリカ戦勝利の瞬間は「不思議と冷静でした」
南アフリカ戦の朝にジョーンズHCと「今日は勝つ」と話していた岩渕GM 【スポーツナビ】
進行役の村上氏が「勝つというのは本気で……?」と聞き返して、会場が笑いに包まれるなど、ワールドカップが始まるまでは日本が南アフリカに勝つとはファン、関係者も信じられない状況だった。それでも、岩渕GMは序盤から手応えを感じていた。「最初の10分でボールを持った選手に2人目が寄る速さで勝っていました。ブレイクダウン(密集でのボールの奪い合い)で日本がプレッシャーをかけていたので、いけるかなと思いました」。そして、日本が点差を離されずについていくことで、観客の興奮は日本への応援に変化し、南アフリカには焦りが見え始めた。「南アフリカでもパニックになるんだと驚きました(岩渕GM)」
そして、日本代表はヘスケスのトライで南アフリカを破り、会場は熱狂したが、岩渕GMは冷静だったという。「不思議と冷静でした。泣いたり、ガッツポーズはしなかったです。私は一人で見ていたんですが、周りは本当にすごかったですね。逆に『3日後は大変だな』と思いました」。中3日で迎える次戦は、スコットランドにとっては初戦であり、日本を分析する時間もあった。逆に日本は南アフリカ戦に比べて、分析が十分にできず、スコットランドに敗れた。
「これからの5年がその後の50年を決める」
そして、日本ラグビーの今後についても話は進んだ。岩渕氏が日本代表GMを続けるかどうかはまだ決まっていないが、強化しなければいけない点は多い。
「今回のワールドカップを永遠に語り継がれるようにしてはいけないと思っています。19年にもっとすごいことが起こせるようにしないといけません。今回は危機的状況を一歩脱け出たように見えますが、代表が勝っただけです。19年のワールドカップ、20年の東京五輪の後の21年からどうやっていくか……、これからの5年がその後の50年を決めると思っています」