アルビアーノは逃げから差しへ! GI制覇へ、柴山騎手に気負いなし

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並々ならぬ思いでマイルCSに向かう柴山雄一騎手 【netkeiba.com】

 前哨戦のスワンS(GII)で、それまでの先行策から一転して、道中控える競馬で優勝したアルビアーノ。春シーズンは土つかずの3連勝でNHKマイルC(GI)に臨み、クラリティスカイの2着と惜しくもGI制覇を逃しただけに、陣営や鞍上の秋シーズンに期する思いは並々ならぬものがあった。それがスワンSでの脚質転換の成功と勝利に結びついたと言っても過言ではないだろう。「勝ちたいという気持ちが強くて、追い出しが早かった」とNHKマイルCでの手綱さばきに悔しさをにじませる主戦柴山雄一騎手に、マイルCSに懸ける現在の心境を語ってもらった。(取材・文:佐々木祥恵)

悔しさが残ったNHKマイルC

「スピードと力強さを兼ね備え、どっしりと落ち着いていて、オンとオフがハッキリしている」

 柴山はNHKマイル前のインタビューで、アルビアーノについてこう評していた。その表情には不安よりも自信がうかがえた。しかし、結果はクラリティスカイの2着。スローペースの中で2番手からレースを進めたが「結果的に目標にされやすい競馬になったかもしれない」と柴山が振り返るように、アルビアーノの背後から虎視眈々(こしたんたん)と運んだクラリティスカイにゴール前で差される形になった。

「あの時はプレッシャーというよりも、勝ちたいという気持ちが強かったです。その分、少し早く追い出してしまいました」

 柴山はNHKマイルCのVTRを何度も見返している。

「今後の参考にならなかったり、嫌なイメージが残るレースは見返しませんけど、あの競馬は悔しかったですし、自分の気持ちが先に出過ぎているという内容でしたから。1馬身という着差を考えても、それさえなければ勝っていただろうと思いますしね」

 その悔しさをバネに駒を進めた関東オークス(JpnII)では、1番人気に推されながら4着と精彩を欠いた。

「距離が2100mでしたから楽に前に行けて、それを抑えながら道中どう落ち着けて走らせるかを考えていたのですけどね」

 しかし、当日の様子やレース振りは予想に反したものだった。

「初めてのナイターだったせいか、競馬前からテンションが違いました。いつもどっしりしているというイメージでしたが、カリカリしていましたし、ゲートの中でもソワソワしていました。砂のキックバックもありましたし、向正面では全く進んで行かないという感じで嫌々走っていました。新馬戦の時は、芝よりむしろダートの方が良いのではないかと思っていたくらいですから、ダートが敗因というわけではないと思います。あのレースは参考外ですね」

京成杯AHは7着も収穫あるレースに

 関東オークスの後は休養にあて、秋初戦は京成杯AH(GIII)が選択された。

「休み明けの分、少しカリカリしていましたが、返し馬の時など雰囲気は良かったです。馬自体も夏を越してしっかりしていましたしね」

 2番手でレースを進め、直線では一旦先頭に立つ場面もあったが、ゴール前に後続に飲み込まれる形で7着と、初めて掲示板を外す結果となった。

「少し出して行って2番手につけましたが、結果的にはハナに行った方が良かったのかなとも思いました。道中力んで走っている部分が長かったですし、そこをゆったり走らせられれば、最後はもう少し踏ん張れたように思います。着順のわりには前と差はなかったですからね」

 それでも以前より、心身の成長や進歩も感じ取っていた。

「体全体がしっかりしてきましたし、トモの踏み込みも良くなってきました。以前は走りにブレがありましたが、それも解消されてきました。新馬、2戦目では、直線でGOサインを出した時に、少し後ろ向きな部分があり、ステッキを見せるだけにしたり、見せムチだけにするなど、気を遣う面もありました。そのあたりも厩舎や牧場で矯正してくれて、ステッキを入れても尻尾を振らなくなったりと、良い方向に変わってきましたね」

 敗れはしたものの、柴山や陣営にとっては収穫ある一戦となった。

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