コートの速さ、ボールの飛びとは!? 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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ハードコートは速く、クレーコートは遅い

「速い」タイプのハードコートである有明コロシアム 【写真:アフロスポーツ】

 読者の方から、コートサーフェース(種類)の「速さ」の違いについて、また、ボールの「飛び」の違いに関する質問が寄せられています。基本的なところをおさらいしてみましょう。それらの違いは、生で試合を見ているとけっこう分かるのですが、テレビの映像では分かりにくい部分かもしれません。

「コートの速さ」というのはいわゆる球足の速さのことで、ハードコートやクレーコートなどサーフェースによって大きく違います。基本的にハードコートは速く、クレーコートは遅いのですが、同じハードコートでも違いがあります。分かりやすく言えば、表面を触ったときに、つるつるしているか、ざらざらなのかという違いです。つるつるしているとバウンドしたときに少し滑る感覚があり、「速い」と感じます。

 一方で、やすりをかけたようにざらざらしているコートもあり、これはサーフェースのざらざらによる摩擦の力が働き、球足が遅くなります。感覚だけでなく実際にバウンド後の球速も異なるので、遅いコートの場合、打つまでに「時間がある」と感じられます。

顕著に感じられるボールの違い

 東京の有明コロシアムは「速い」タイプのハードコートで、全米オープンのサーフェースと同じ「デコターフ」というブランドです。全米オープンは有明より少し遅く感じられますが、一般的な基準では「速め」のハードコートです。一方、「遅い」ハードコートの一例がインディアンウェルズ(米国)です。

 クレーコートでも「早い/遅い」の違いがあります。表面のクレー(土)そのものに「重い/軽い」などの違いがあるからです。全仏オープンのローランギャロスは「速め」のクレーコート。パウダー状の細かいクレーですが、しっかり固められていて、実際、固いと感じられます。イレギュラーバウンドもほとんどない整ったコートで、私にとっては一番プレーしやすいクレーコートでした。

ボールはブランドやコートによっても感触が異なってくるため、選手たちにはそれにアジャストする力が求められる 【写真:アフロ】

 ボールに関しても、重く感じられるボールと軽く感じられるボール、あるいは、飛ばないボールと飛んでいってしまうと感じるボールという違いがあります。ブランドによってゴムの硬さや圧などが、微妙に異なり、打った時の感覚はかなり違います。「そんなに違うの?」と思われるかもしれませんが、特に軽く感じるボールと重く感じるボールの違いは顕著です。ボールが重いと肘や肩に大きな負担がかかるので、トーナメントによっては複数の選手から「重すぎるのでは?」と大会側に疑問が出されることがあります。

 同じボールでもコートサーフェースによって選手の感じ方は大きく異なります。例えば、速いハードコートの翌週が遅いハードコートの大会になったりすると、ボールは同じでも重く感じられる場合があります。さらに、選手個々とコートサーフェスの相性もありますから、そこがしっくりこないと「どうもボールの収まりが悪い」ということになってしまいます。このようにいろいろな要素が関係するので、合っているか合っていないかで、プレーしやすい大会、難しい大会と大きな幅が出てきてしまいます。

トップ選手に求められる力

 ここまで書いてきたように、同じサーフェースの大会が続いてもコートの速さやボールの飛びは微妙に違うので、そこにどれだけ早くアジャストしていけるかが問われます。ストリングスのテンションを変えるなど、自分のプレーがしやすい状態に持っていくことが求められるのです。

 好き嫌いという要素もあるので、選手全員に合ったプレー環境というのは、ほとんどありません。サーフェースやボールに関して、どの選手からも異議が出ない大会はありますが、全員にとって最高というのもなかなかないということが言えます。1年を通してトップで戦う選手は、いかなるサーフェースの早さでも、ボールの違いにも対応できる力がある、ということが言えると思います。
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