リオ団体金へ、体操男子に必要なこと 油断禁物、各国の追い上げに警戒を
世界選手権で37年ぶりに団体金メダルを獲得した日本男子。リオ五輪に向けて今後必要なこととは? 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
大会前に日本が描いていたのは、予選を1位で通過することだった。予選を1位で通過すると、慣れている正ローテーション(ゆか、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒)で回ることができる上に、種目間の休憩時間が2位チームより長く取れるという有利な条件を手に入れることができる。
日本は中国と同じ組で回った予選で思惑通りに1位通過。2位に中国、3位に地元イギリス、4位ロシア、5位米国と続いた。
日本は大会前の加藤凌平(順天堂大)の足首故障、田中佑典(コナミスポーツクラブ)の右手首痛、イギリス入りしてからの長谷川智将(日本体育大)の負傷による早坂尚人(順天堂大)へのメンバー交代というアクシデントがあったものの、それらの影響を最小限にとどめながら決勝を迎えた。
決勝ではゆかとあん馬で点を稼ぎ、2種目を終えてライバル中国に6点差の好スタート。平行棒と鉄棒では田中と内村が相次いで落下するアクシデントがあってヒヤヒヤしたものの、最終的には前半の貯金を守り抜き、優勝を決めた。
若手が台頭 厚くなった選手層
白井ら若手の活躍が日本の躍進を支えている 【写真:Enrico Calderoni/アフロスポーツ】
採点の傾向に関してはどうだったか。
水鳥監督は、「予選では演技の出来映えを評価するEスコアが全体的に非常にシビアで、それは団体決勝まで続いた。その中で日本の体操が評価された」と、日本の美しい体操が他国に差をつけることのできた要因だと分析している。
これは、日本の体操界全体が、長年にわたって美しい体操の大切さを強調した指導を行なってきた賜物(たまもの)だ。ナショナル合宿でどの代表選手に聞いても、「子どもの頃から美しい体操をしなければだめだと教わってきた」と口をそろえる。付け焼き刃ではない、基礎の部分での美しさが日本にはある。そして、着地へのこだわりについては、内村という世界最高のお手本がいる。これこそが日本の強みである。