「MMAはスポーツ」だと証明したい 世界MMA連盟CEOインタビュー(2)
(聞き手:布施鋼治)
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統一ルール、指導方法などが必要
IMMAFのデンサインCEO(左)とパンクラスの審判部長で、JMMAFコミッショナーでもある梅木良則氏 【布施鋼治】
先週もフランスでロシア人のプロモーターがMMAの大会を強行開催して現地では大問題になりました。
──フランスではMMAの大会開催が禁止されていますからね。
そうです。ノルウェーやアイスランドなど世界の中にはまだMMAを禁止している国がある。そういった国々には「MMAはストリートファイトの延長ではないのか」という偏見がある。そういった偏見を失くすためにはユニファイド(統一)ルールを明確化して、「MMAはスポーツ」ということを証明していきたい。そのためにはメディカル(医療体系)の整備も必要になってくるでしょう。大会があるごとにIMMAFが大会のメディカルをカバーする、つまりMMAがひとつのスポーツとして安全だということをプログラム化していく。それは指導方法にしても同じです。IMMAFが練習メニューを作り、それをプログラム化していく。世界中どこのジムにいっても、資格のある人が教えているようにしないといけない。
早急なプロ昇格は競技の発展にならない
50カ国が加盟しています。もうすぐ正式発表できると思いますけど、ロシアの加盟も決まっています。より多くの国々から、より多くの選手が参加することによって競技の質は上がっていく。大陸・地域選手権を開催する主催国は国のステータスが上がり、貢献度をアピールすることもできるようになるでしょう。ちなみにこの間の世界選手権もそうでしたけど、今後開催される大陸・地域選手権はすべてUFCファイトパス(UFCの登録制デジタル映像配信サービス)を通して160カ国に放送されることになります。そうすることでMMAをさらにスポーツとして認知させたい。
──UFCがIMMAFをサポートする理由は?
UFCにとってIMMAFは新しいタレントを発掘する舞台なのです。例えば(今後設定される)IMMAFのランキングに入っている選手はいやがうえにもUFCがチェックしているので、プロデビューするチャンスを与えられやすい。
──プロとアマのボーダーは?
そこです。IMMAFが大会を数多く開催したい理由のひとつとして、いまは世界中ですぐプロになってしまう選手があまりにも多すぎることがあげられます。結局実力が伴わなければ、プロに昇格してもすぐ負けて辞めてしまったりするケースも出てくる。つまり早急なプロ昇格は必ずしも競技の発展につながらない。そこでIMMAFとしては公式のレギュレーションがあるプログラム化された大会を定期的に開催していくことで、しっかりと実績を作ったアマチュアがプロに昇格するという流れを作りたいのです。個人的な考えですが、どんな選手でも少なくとも3〜4年のアマチュア経験は必要だと思います。そして、個々の実績を具体化させるために今後開催する大会ではポイント制を導入したい。実績に応じてポイントを与え、それに応じてランキングを作成するというシステムです。
──柔道の世界ランキングに似ていますね。
その通りです。柔道のシステムをかなり踏襲しています。ただ、国際柔道連盟には200の加盟国があるけど、IMMAFはまだそこまでには至っていない。なので、今年11月、英国のバーミンガムで開催される欧州選手権は参加国をオープンにしたい。一応欧州という冠はついているけど、IMMAFの加盟国だったら、誰でも参加できるようにしたい。先の世界選手権は1カ国につき1階級1名までだったけど、今回はオープン選手権として1カ国1階級2名までOKにしたい。階級は先の世界選手権より女子で1階級増やす予定です。バーミングガムの大学の体育館で開催する予定ですが、現段階では200名以上の出場を見込んでいます。スムーズに大会を進行させるため、トリプルケージを使おうと思っています。