総合格闘技を五輪種目にするために 世界MMA連盟CEOインタビュー
子供でも危険でないルール整備が必要
スポーツとして発展させるには子供でも危険でないルール整備などが必要となってくる 【田栗かおる】
MMAをスポーツとして分かってもらうための努力が足りなかったということでしょう。まずはレフェリーのあり方や資格、あるいはルールの整備ですね。そういったものをきちんと構築していかないといけない。現在私はそこに注意力を割いています。
──歴史のある競技なら指導要項が存在するのが当たり前。しかしながら、MMAにはまだそういった類のものが存在しません。
MMAの場合、それまで各ジム、あるいは個人レベルでそれなりのトレーニング方法があった。でも、本当に世界的なスポーツだったら、世界の誰が見ても共通な指導方法があるべきでしょう。ルールもそうです。選手たちはどういうステップでテクニックを習得していくのか。コーチをやるにしても本当は資格が必要なのです。そういったレギュレーション(規則)がMMAにはなかったのです。
──耳の痛い話ですが、それが現実です。
ルールの明確化も必要になってくるでしょう。さらにスポーツだったら、老若男女を問わずにできるものでなければいけない。
──しかし、子供にパウンドやヒジは危険すぎるのでは?
やっぱりスポーツは子供もできるかどうかが重要な問題になってくる。現実問題として子供にやらせるとしたら、どういうルールでやらせたらいいのか。そういったところのレギュレーションも必要になってくるけど、私には柔道での実績があるので、それに基づいていろいろ考えているところです。子供をいきなりケージに入れて、パンチやアームバーをさせるべきではない。まだできてはいないけど、子供向けのMMAを始めるためのプログラムを作ろうと思っています。
──なるほど。
柔道や空手は帯によってグレード(級・段)が分かれているけど、MMAも色による昇級制を考えたい。IMMAFはMMAというスポーツに対してしっかり責任を負う立場にありますからね。MMAというスポーツをやることで、それが安全なスポーツであるというレギュレーションを作っていかないといけない。
■プロフィール:デンサイン・ホワイト
1961年12月21日生まれ(53歳)
英国出身。12歳から柔道をスタート。84年のロス五輪から3度五輪に出場した。引退後、英国柔道連盟のチェアマンを11年間務める。現在はIMMAF CEO。英国在住。