ドラフトで戦力の穴は埋められた!? 12球団のポジション別年齢構成を見る

ベースボール・タイムズ
 計88選手(育成指名を除く)が指名された2015年のドラフト会議。各球団の指名は、補強ポイントに合致していたのか? 来季だけでなく、5年後10年後を考えた指名だったのか? 12球団の年齢構成を見ながら今ドラフトを評価したい。12球団の現有戦力をポジション別に分けた上で、チーム内の年齢構成(19〜21歳、22〜25歳、26〜29歳、30〜34歳、35歳以上)を視覚化した。

(注)育成選手を除く10月22日時点の在籍選手。年齢は2016年の満年齢。

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高卒左腕を充実させたヤクルト

【ベースボール・タイムズ】

 真中満監督が、“勘違いガッツポーズ”というまさかの珍事を演じてしまった東京ヤクルトだが、めげずに計6選手(投手3、内野2、外野1)を指名した。

 チームの不足ポイントである若手左腕として、3位・高橋奎二(龍谷大平安高)、4位・日隈ジュリアス(高知中央高)を指名し、高山俊を逃した即戦力外野手には5位で山崎晃太朗(日本大)を加えた。

 来季の戦いを考えると即戦力の中継ぎ投手を加えたかったところだが、現在のチーム編成と照らし合わせると全体的なバランスは悪くない。数年後、真中監督が笑って振り返れるような活躍を期待したい。

巨人は全ポジションで即戦力を指名

【ベースボール・タイムズ】

 監督不在の中でのドラフトとなった巨人。チームの年齢分布を見ても、世代交代が急がれるため、今回は即戦力を重視した8人(投手4、捕手1、内野2、外野1)の指名となった。

 1位で即戦力右腕・桜井俊貴(立命館大)、2位で外野手・重信慎之介(早稲田大)と編成上の欠落部分を補完。桜井は先発ローテ、重信は“足のスペシャリスト”鈴木尚広の後継者として期待される。あとは、190センチの大型右腕の3位・與那原大剛(普天間高)が成長し、6位・巽大介(岩倉高)、7位・中川皓太(東海大)の左腕2人が将来、内海哲也、杉内俊哉の後継者に名乗りを挙げることができれば成功だったと言えるだろう。

 育成でも大量8人を示したが、全体的に“守り”の指名で高卒選手が不足。ハッキリと若返るためには、来年以降、高卒のスター候補生の指名も検討したい。

阪神、若手不足も高校生は1人だけ

【ベースボール・タイムズ】

 高山俊(明治大)を獲得した金本知憲新監督率いる阪神。大学、社会人と即戦力にこだわる形で、計6人(投手3、捕手1、外野2)を指名した。

 若手が伸び悩み、“核”が不在の外野陣に、東京六大学の通算安打記録を塗り替えた近未来の主軸候補を加えることができたのは大きな収穫。さらに正捕手候補として2位で坂本誠志郎(明治大)を指名。その他、素材型の社会人・竹安大知(熊本ゴールデンラークス)を3位で、高卒右腕の望月惇志(横浜創学館高)を4位で指名してバランスを取った。

 しかし、“聖地”甲子園を本拠地としながら、高卒野手は一人も指名せず。将来を見据えて高校生野手を一人は指名してもらいたかった面はある。それも来季への“熱意”と考えることはできるが……。 

広島は左右で即戦力投手を指名

【ベースボール・タイムズ】

 Bクラスに終わった悔しさを晴らすべく、1位で岡田明丈(大阪商業大)を指名した広島。即戦力を中心に計7人(投手4、捕手1、内野2)を指名した。

 今年絶好調の岡田と横山弘樹(NTT東日本)はともに1年目からの活躍が期待される存在。さらに、チームに不足している左腕として、3位で高橋樹也(花巻東高)、6位で仲尾次オスカル(ホンダ)を指名。仲尾次が1年目から1軍で働くことができれば今ドラフトの評価は一気に高まる。

 また、チーム編成的に欠落していた高卒野手として、青木陸(山形中央高)を指名した点もうなずける。欲を言えば即戦力の先発左腕を指名したかったところだが、まずまずのドラフトと言えるだろう。

中日は2年連続で高校生野手指名なし

【ベースボール・タイムズ】

 ベテラン勢が一気に引退し、世代交代が急がれる中日。地元のスター候補・高橋純平(県岐阜商高)は外したが、代わりに小笠原慎之介(東海大相模高)を引き当て、計6人(投手3、捕手1、内野2)を指名した。

 1位指名の小笠原は、大野雄大に次ぐエース左腕、そして若松駿太と肩を並べる新世代の旗手として大きな期待を背負う。その一方で、2位に大学生の佐藤優(東北福祉大)、3位の木下拓哉(トヨタ自動車)以下4人は社会人。大学、社会人のみで計9人を指名した昨年のドラフトに続き、改革を急ぐ球団方針を反映した指名となった。

 球団の戦略は承知だが、高卒の若手野手が不在なチーム編成にはやや寂しさを感じることも確か。現チームの主力である平田良介、森野将彦はともに高卒で入団しただけに、来年こそは“勝負”してもらいたい。

今永獲得でDeNAは左腕王国へ

【ベースボール・タイムズ】

 ラミレス新監督とともに新たな船出となる横浜DeNA。今季リーグワーストのチーム防御率を改善すべく、半数を投手が占める計7人(投手4、捕手1、内野1、外野1)を指名した。

 上位2人はともに大学生。1位の今永昇太(駒沢大)は1年目から先発ローテ入りを期待でき、今季台頭した砂田毅樹、石田健大とともに左腕王国建国を目指す。また、3位で遊撃手の柴田竜拓(国学院大)4位で捕手の戸柱恭孝(NTT西日本)を指名。年齢分布的には高校生が欲しいが、センターラインの強化が急がれる現状を踏まえると納得できる指名と言える。

 その上で、6位で青柳昴樹(大阪桐蔭高)、育成であるが山本武白志(九州国際大付高)といった未来のスラッガー候補を指名。最終的にバランスの取れた指名となった。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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