青学大、3冠見えた“格の差”の勝利 駒澤大OB神屋氏が出雲駅伝を解説

スポーツナビ

青山学院大の3冠は目前

出雲路を走った選手以外にも、実績・実力のある選手が控えている 【写真は共同】

――11月の全日本大学駅伝、来年1月の箱根駅伝と、勢力図はどう変わっていきそうですか?

 全日本は神野選手が復活するかというのもありますが、青山学院大は(注目すべき選手の)名前がたくさん挙がりますよね。駒澤大は(力のある)下(史典)選手、小山(裕太)選手も登場してくると思いますが、楽観視はできないでしょうね。

 今日アンカーを務めた青山学院大の一色選手と駒澤大の大塚選手は、実力としてはあそこまで差がつくほどではなかったのかもしれません。ただ、“格の差”、“実績の差”というのがあります。今まで厳しいところで戦ってきて、それなりの勝負をしてきたかどうか。青山学院大はそういうシビアなところで走ってきた選手が控えにもたくさんいます。そう考えると、今後も青山学院大がさらにパワーアップしていくのかなと思います。

――今の青山学院大の強さはどこにあるのでしょうか?

 そうですね……駒澤大や東洋大と比べると、リクルーティングの段階で、実績を持っている“格の高い選手”が多いのが青山学院大ですね。駒澤大はレギュラーが固まっていますよね。今回も箱根駅伝を経験した選手がほとんどだったと思いますが、青山学院大は(4区を走った)下田(裕太)選手のように、(いろんな選手が)本当にどんどん出てくるんです。彼らが経験を積んで、その上すでに経験値がある安藤(悠哉)選手や田村(和希)選手、(実力のある)秋山(雄飛)選手も残っている。すごく良い好循環ができていて、神野選手はいないけれど他の選手が出てきて、良い結果を出して、それがまた次につながってと、今は急拡大している感じですね。

――1強といっても過言ではない?

 出雲駅伝を見ると、3冠がもう目前に見えるところにいますね。他の大学がどうひっくり返そうとするかじゃないでしょうか。みんな青山学院大を見ながら、駒澤大も東洋大も、山梨学院大もいくしかないと思います。

全日本、箱根――他大学に勝機はあるか?

――青山学院大が優勢な現状を変えるために、他大学にできることは?

 そうですね……全日本であれば、アンカー区間に青山学院大のどの選手が来るか分かりませんが、(前を走る主力選手を)ひっくり返す力を持っている選手をアンカーに持っていって、そこまで互角の勝負ができるか。東洋大なら服部勇馬選手、駒澤大なら中谷選手くらいだと思います。青山学院大(の勢い)を止めるとすれば、(アンカーより前の選手が)「彼がいるからうちは(頑張れる)」といった駅伝ができるかどうか。正直、それくらいしか今はないのかなと思います。前半で離されたらどうしようもない。今、青山学院大はそれくらいのところまで来ています。

――箱根駅伝も、青山学院大が優勝の筆頭候補?

 駒澤大からすれば、全日本で(現在)4連覇をしているので、5連覇を捨ててでも箱根にいくのか、5連覇でいくのかどうか。東洋大は箱根だけに懸けるという考え方もできると思います。青山学院大の3冠を阻止することだけを考えたら、東洋大は箱根でしょうね。青山学院大の3冠に対する、(他大学の)指揮官や選手の考え方が、次の全日本でも見えてくるのではないかと思います。

――他大学が青山学院大を崩すのは、厳しいですね。

 そうですね、これだけ青山学院大が逃げると、私が(現役時代の1999年の箱根駅伝で)順天堂大に3冠を取られたみたいに、あの手もこの手も通じないというところはあるので、大変だとは思います。ただ、百戦錬磨の監督さんたちなので、ここからどう変えて来るのか、原監督をどう包囲するのかは注目です。

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