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男子バスケ代表が18年ぶりのアジア4強
五輪世界最終予選に向け高めたい経験値

「組織力」が日本の武器に

準々決勝でカタールに勝利し、ベスト4進出を決めた日本代表
準々決勝でカタールに勝利し、ベスト4進出を決めた日本代表【小永吉陽子】

 リオデジャネイロ五輪予選を兼ねた男子アジア選手権が9月23日〜10月3日まで中国・長沙で開催され、日本は1997年以来、18年ぶりとなるベスト4へと進出した。優勝国に与えられる五輪切符には届かず、課題が山積していることも体感した。それでも4強入りによって、来年7月に行われる世界最終予選への扉が開けたことは、男子バスケ界に未来をもたらしたと言える。


「今回は本当に運が良かった。大会直前に世界最終予選の切符が3枚から4枚に拡大し、組み合わせにも恵まれた」と長谷川健志ヘッドコーチ(HC)が言うように、今回の成績は運を味方につけたものであることは確かだ。


 日本がターゲットとしていたのは1次ラウンドではインド(83−65)、2次ラウンドではパレスチナ(74−67)というアジアの新興チーム。また準々決勝前に香港を相手に休養を取りながら戦えた(89−62)ことは、もう一方のグループに中東勢や韓国や台湾といった強豪国が集結したことを考えれば、千載一遇のチャンスだったことは間違いない。さらには準々決勝の相手が、高さを持つ中国でも、戦いにくい韓国でもなく、エースガードに負傷を抱えていたカタール(81−67)が上がってきたことも、戦いやすさをもたらしていた。


 しかし、運を味方につけただけならば、準々決勝を乗り越えたことで終わっただろう。今大会特筆すべきことは、敗戦を喫した後に改善が見られたことだ。特に、1次ラウンドで48−86の大敗を喫したイランには3位決定戦で63−68、2次ラウンドで66−73で敗れたフィリピンには準決勝で70−81、それぞれ1、2次ラウンドを上回る内容で熱戦を展開し、終盤まで立ち向かうことができた。アジア上位でも戦える手応えを示したことが、一番の収穫だったのだ。


 近年、日本はアジアでの戦いにおいて、タイプの違う国との連戦に対応できずに、試合を重ねていくごとに心身の両面で疲労を重ねて失速していた。ライバル国が連戦にタフネスさを発揮し、“熱”のある戦い方をしていることには、羨望(せんぼう)の眼差しで見つめるしかなかった。


 勝利に必要な“熱”とは、苦しい場面でボールを奪いに行く活力、コートもベンチも一体になる信頼感、敗戦の後に修正できるような粘り強さのことだ。これらは誰かがやってくれるものではなく、選手一人一人が徹底することから生まれるもの。いわば、試合にかける労力をいかに費やせるかが勝敗を分ける。


 こうした積極性が日本には不足していたことから長谷川HCは、「自分の役割を果たせる選手を選出した」という。これまでの日本はチームカラーと言えるものが見えにくかったが、今大会は試合を重ねていきながら「組織力が武器」だと胸を張って言えるまでに成長していった。大会を通して組織力を形成していった要素をあげてみたい。

組織力(1):田臥の執念からチームの成長が始まる

執念のルーズボール奪取とリバウンドでチームに活力を吹き込んだ田臥
執念のルーズボール奪取とリバウンドでチームに活力を吹き込んだ田臥【写真は共同】

 大会初日、アジア王者のイランに38点差の惨敗から始まる最悪のスタートだったが、自信を失いかけていたチームを立て直したのが、最年長の田臥勇太(リンク栃木ブレックス)だった。1次ラウンドで勝負となったインド戦では劣勢の場面から執念のルーズボール奪取とリバウンドでチームに活力を吹き込んだ。


「小さな積み重ねだけれど、一番やらなければいけないのはリバウンドとルーズボール。一つでも多くボールを取らないと走る展開は生まれない」という田臥が示した泥臭いプレーは、今の日本に一番必要な姿勢を教えてくれた。


 田臥に刺激を受けて2次ラウンドから変化が芽生えてきたのが、リバウンドの要となった竹内譲次(日立サンロッカーズ東京)や今大会エース格へと成長した比江島慎(アイシンシーホース三河)である。田臥を含めた3本柱が確立されたことで、日本は大事な試合でも大崩れすることがなかったのである。

小永吉陽子

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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