ベルギーリーグで成長続ける小野裕二 STVVを選択した理由と誓い

中田徹

格上アンデルレヒトとの差

小野は今季、STVVで全試合に出場し、レギュラーの座をしっかりとつかんでいる 【Getty Images Sport】

 第9節のアンデルレヒト戦(9月27日)を迎えるまで、シント・トロイデンVV(STVV)はベルギーリーグの4位にいた。昇格チームとしては素晴らしいシーズンスタートである。スタンダールで出場機会に恵まれず、またけがにも泣いた小野裕二は今季、STVVで全試合に出場し、レギュラーの座をしっかりとつかんでいる。第8節のウェステルロー戦では、右足アウトフロントから鮮やかなスルーパスでゴールをお膳立てし3−0の勝利に貢献していた。

 しかし、さすがはアンデルレヒトだった。0−1という僅差だったものの、STVVも小野も、相手チームの激しいプレッシャーの中、思い通りのサッカーをさせてもらえなかった。アウェーの地でSTVVの健闘が光ったとはいえ、終わってみれば2位アンデルレヒトの順当勝ちだった。これでSTVVは順位を2つ落とし、6位に。それでもまだ、プレーオフ1出場圏内である。

 何度かアンデルレヒトの選手に削られ、足首の激痛に顔をしかめたこともあった小野だったが、試合後に首の痛みを訴えていた。

「めっちゃ痛かった。寝違いみたいな感じ。相手の99番、くっそ強かった」

 アンデルレヒトの99番とは、イタリア代表歴もあるストライカーのステファノ・オカカ・チュカのこと。186センチの長身に、筋肉の鎧をかぶっている。首の痛みがオカカとの1対1から生じたものかどうか、小野自身に記憶は残ってないが、170センチと小柄な彼がオカカを執拗(しつよう)に追い回し背後からファウルしたシーンは、アンデルレヒトのファンも沸かせた。規格外のフィジカルを誇るオカカとの1対1を、小野は「ああいうのは日本じゃ、絶対ないですからね」と振り返っていた。

9試合出場でまだノーゴール

 小野はこの日、2本のシュートを放っていた。最初のシュートは前半、味方の蹴ったCKをファーサイドでボレーしたものだったが、相手にブロックされた。2本目のシュートは後半だった。レフェリーがSTVVにCKを与えてプレーが止まると、両チームの集中力が突然途切れてしまい、選手たちが棒立ちになった。この瞬間を、キッカーのロブ・スホーフスと小野は見逃さなかった。ペナルティーエリアの中に猛然と走り込んだ小野に、スホーフスが正確なキックでクロスを送った。GKシルビオ・プロトとの空中戦に小野は勝ち、ヘッドで合わせようとした。しかしシュートはミートせず、大きくゴール右外へ力なく流れていった。

「俺があと3センチでかかったら、多分入っていました。(アンデルレヒトのゴール前が)すごく空いていたし、キーパー(プロト)もハイボールが得意ではないから。ロブもすごく良いボールを蹴ってくれましたし、あとほんの少しでした。ただ、ゴール前でシュートを打つチャンスが最初に比べて増えてきていると思うので、ここで決め切るというところを自分としてはやっていければいいと思います」

 確かに小野が、相手ゴール前でシュートを放つシーンは増えつつある。8月29日のルーバン戦(0−1)で、小野は3度の絶好機を迎えていた。9月13日のシャルルロワ戦(1−1)では、右からのクロスをバイタルエリアで、ボレーで合わせたが、惜しくも右へ外してしまった。そろそろゴールが決まるだろうという感触を得ている小野だが、今季9試合出場でまだノーゴールである。

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著者プロフィール

中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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