砲丸投・世界記録保持者の次なる挑戦 リオパラリンピックはやり投で勝負
やり投でリオを目指す理由
やり投での頂点を目指し、肉体改造に取り組んでいる 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】
ここで加藤に課されるのが、肉体改造である。同じ投てき種目でも、加藤いわく、「やり投はスローで、砲丸投はプッシュ」と動作が異なり、使う筋肉も違う。現在は、最終的な照準をリオに合わせた上で、4キロの鉄球を投げるために作り上げた肉体を、やり投仕様に変えている最中だ。体重を落とし、肩まわりの強化と肩甲骨の可動域を広げるトレーニングに取り組む。かつて痛みのあった右肩は、リオを見据えて昨年2月に手術をしており、回復は順調だ。「世界のトップは40メートル台を出しているので、今の自分の記録では戦えない。今回の世界選手権はリオの前年で出場選手も多いでしょうから、新しい選手に負けないように自己ベスト更新を狙います」と慎重な構えを見せる一方で、「メダルはやっぱり取りたい」と2大会連続表彰台への意欲をのぞかせる。
得意の砲丸投が世界選手権やパラリンピックで実施されないのは、正直葛藤があるという。だが、「負けず嫌い」「緊張しない」「何事も挑戦するタイプ」と自分を分析するように、持ち前の精神力の強さですべてを受け入れる。
やり投でも世界の頂点へ――。自分を奮い立たせ投てきに懸ける、若きスローワーから目が離せない。