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日本代表、攻撃を再整備してサモア戦へ
防御に工夫のスコットランドに完敗

「中3日」のために準備をしていたが…

試合終了後に円陣を組む日本代表。スコットランド戦は10対45で完敗を喫した
試合終了後に円陣を組む日本代表。スコットランド戦は10対45で完敗を喫した【斉藤健仁】

 9月23日、ラグビー日本代表は、ワールドカップの予選プールBの2試合目としてスコットランド代表と戦った。9月19日に優勝2回の南アフリカ代表を34対32で倒す「ブライトンの奇跡」を起こしたエディー・ジャパンにとって、その勢いのまま、欧州の伝統チームを倒すことができるか、日本だけでなく世界のスポーツファンが注目した一試合となった。ただ結果は、後半だけ5トライを喫し10対45で敗戦した。


 予選プールBの南アフリカ代表戦とスコットランド戦の間が、中3日ということは2012年の12月から決まっていた。TVの放映、そして世界ラグビー界の「秩序」の前に立場の弱い日本代表は抗うことはできない。

 そのため、日本代表を率いるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、準備を怠らなかった。2013年6月に9日間で3試合を行った。同年秋にはスコットランド代表戦の後に、今回の会場・キングスホルム・スタジアムで地元のグロスターとも対戦。また今年8月の世界選抜戦の後にも中3日で宗像サニックスと試合形式の練習も行った。3年前から想定し、準備していたために選手たちは「疲れは関係なかった」と気丈に振る舞った。

前半をリードするためにマフィ、福岡を起用

前半から何度もディフェンスラインを突破していたマフィは、後半に負傷交代した
前半から何度もディフェンスラインを突破していたマフィは、後半に負傷交代した【斉藤健仁】

 そんな状況の中、自ら「戦術コーチ」を名乗るエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が取った作戦は「アグレッシブ・ファスト・スタート」だった。「試合は頭が非常に大事になる。スコットランドの(過去)15試合見ると、対戦相手は前半でリードしていないと苦戦している。良い試合をした次の試合というのは苦戦しがちなので、スコットランドに対しては早めに得点を稼がなければ勝ち目がない」(ジョーンズHC)


 そこで先発に起用したのが「フィジカルモンスター」の異名を取るNo.8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)と、2年前のスコットランド戦で2トライを挙げたWTB福岡堅樹(筑波大4年)だった。また戦術面でもキックをうまく使いつつ、ボールインプレーを増やすだけでなく、中盤から積極的にボールを展開するアタッキングラグビーで勝負に出た。南アフリカ代表戦が「プランB」なら、こちらは「エディー・ジャパン」、本来の姿である「プランA」だった。


 序盤こそ、スコットランドのSHクレイグ・レイドロー主将のハイパントに苦しめられ、自陣に押し込まれてPGを許してしまったが、12分、ラインアウトからのモールでマフィがトライを挙げて7対6と逆転した後からは、中盤では徐々に日本の攻撃にリズムが出てきた。実は、テリトリーでは64%、ポゼッションでは60%。ともに日本代表が上回った。この部分では指揮官の狙い通りだっただろう。

スコットランド第3列の働きでボール出しが遅れる

試合前に一団となって移動する日本代表
試合前に一団となって移動する日本代表【斉藤健仁】

 ただ、FB五郎丸歩副将(ヤマハ発動機)が「(南アフリカ代表戦から)戦術を変えて、そこがうまくいきませんでした」と語った通りの展開となってしまう。


 中盤ではSO立川理道(クボタ)が自身のランだけでなく、パスでうまく、FLリーチ マイケル(東芝)、マイケル・ブロードハースト(リコー)をゲインさせていた。ただSH田中史朗(パナソニック)が所属し、今年、スーパーラグビーの王者となったハイランダーズのチームメイトであるFLジョン・ハーディーは、その豊富な運動量でボールに絡み続け、No.8デーヴィッド・ダントンは、相手を抱えるタックル(チョークタックル)で効果的にボールが出るタイミングを遅らせていた。


 また、22m内に入ると、相手はラックにあまりプレッシャーをかけず、広く立ち、しかも前に出るディフェンスで日本の攻撃を遮断。南アフリカ戦の勝利が、欧州の伝統国であるスコットランドを本気にさせたことも事実。結局、WTB福岡の走るスペースも生まれず、最初のトライ以外、ゴールラインを割ることはなかった。いずれにせよ、スコットランドは日本代表をしっかりと分析して試合に臨んでいた。

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

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